条例改正の年収は男性保育士は想定外!?男性保育士の実際とは

目次

  1. 【1】男性保育士には「一家の大黒柱」は無理!?

    1. 1.目次

  2. 【2】1.「女性の仕事」に飛び込んだ男性保育士の歴史

    1. 1. ■男性保育士の現在

    2. 2.■「保母」から「保育士」へ

  3. 【3】2.男性保育士の存在に批判や警戒も

    1. 1.■男性保育士が直面する「問題」

    2. 2.■男性保育士を敬遠する考えとは

    3. 3.■男性保育士への「偏見」

  4. 【4】3.見直される男性保育士の存在価値

    1. 1.■男性保育士に期待されること

    2. 2.■子どもから見た「男の先生」の存在

    3. 3.■職場に男性保育士がいるメリット

  5. 【5】 4.男性保育士は「続けられない」「結婚できない」?

    1. 1.■男性保育士という職業を選ぶことに「問題」?

    2. 2.■保育士の待遇改善と男女差

    3. 3.■男性保育士の給与とキャリア

    4. 4.■男性保育士の将来に向けて

男性保育士には「一家の大黒柱」は無理!?

 

 

inside of the kindergarten classroom with drawings on the walls

目次

1.「女性の仕事」に飛び込んだ男性保育士の歴史
2.男性保育士の存在に批判や警戒も
3.見直される男性保育士の存在価値
4.男性保育士は「続けられない」「結婚できない」?

 

1.「女性の仕事」に飛び込んだ男性保育士の歴史

 ■男性保育士の現在

男性保育士が活躍する姿は、近年、よく見られるようになりました。「うちの子が行っている保育園にも男性の先生がいて、がんばっている」と話す保護者の声も耳にします。TVドラマや漫画等の作品に男性保育士が登場することもあり、以前に比べて一般的な存在になっています。2010年の国勢調査によると、保育士として就業している人のうち、男性は全体の約2.8%となっています。まだまだ「女性が多い」仕事ですが、1995年の国勢調査では男性が1%未満でしたので、増加しているのは確かです。現在、男性で「子どもが大好きだから」と、保育というやりがいのある職務に希望を持って保育士を目指す人がいます。男性保育士をめぐる現状と今後についてお話を進めましょう。

■「保母」から「保育士」へ

保育の仕事は長年「女性の仕事」とされてきた歴史があり、職業として、資格としての正式な名称は「保母」でした。1985年に男女雇用機会均等法が制定されてから、社会的な考え方として「女性の仕事」「男性の仕事」という線引きがなくなりつつあり、男性が「保母」として働くことも増えていきました。そして1999年、女雇用機会均等法の改正にともなって、正式に「保育士」という名称が生まれたのです。男性も女性も、職業としての保育士に区別はありません。

2.男性保育士の存在に批判や警戒も

■男性保育士が直面する「問題」

男性が「未来ある子どもの成長を支えたい」という夢を持って保育の現場に足を踏み入れたとき、そこには、やはり長年「女性の仕事」だったことから発生する問題があります。例えば、職場である保育園に、男性職員用の更衣室やトイレ等がない、ということもあります。こういった設備の問題は、男性保育士の採用が増えることで徐々に解消されていくという展望があります。しかし、それ以上に難しい事情も、男性保育士の周囲にはあります。それは「職場の理解」「保護者の理解」に関することです。

■男性保育士を敬遠する考えとは

そもそも、男性が保育士として就職しようとするときに「男性は採用したくない」と考える職場も、残念なことですが存在します。実際に「男性不可」とするのは法律的に問題がありますので、表面上は男性も募集しながら採用はしない、という話もあるようです。なぜ、保育の現場である「職場の理解」がなく、男性保育士の採用に前向きでないという問題があるのでしょうか。理由は、男性保育士が「保護者に人気がない」という考え方があるからです。実際に、保護者から「男性保育士にはおむつ交換やトイレ補助をしないでほしい」「着替えやプール遊びのときに男性保育士がいるのは問題」などの意見があるそうです。つまり、性的な問題を意識して男性保育士を敬遠する、という見方です。

■男性保育士への「偏見」

「保育に携わる男が子どもに対してわいせつ行為」という事件は、実際に起きていますし、親の立場で心配し、リスクを避けたいという気持ちは理解できます。とはいえ、一部の犯罪者のために、真面目に保育に取り組む男性保育士のイメージも悪くなるのは、つらいことです。こうした保護者から理解を得るには時間がかかるかもしれません。しかし、保育の現場だけではなく、子どもがいる小中学校の教師には、当たり前に男性がいます。身体に関係のある世話をする仕事、例えば医師や看護師等にも、当然、男性がいます。そう考えれば保育士だけが「男性だと危険」というのは偏見です。真摯に職務に取り組む男性保育士側の姿勢と、社会全体の考え方として偏見をなくす努力が必要です。

3.見直される男性保育士の存在価値

■男性保育士に期待されること

一方で、男性保育士を歓迎する見方もあります。保護者からすると、男性なら体力があり、子どもとの遊びにも元気の良さやダイナミックさが際立つのではないか、という期待があります。また「お父さん」の立場から、男性の保育士がいたら話しやすかったり、相談をしやすかったりという見方もあります。さらに、社会においては「男性がいる」のは普通のことで、子どもにとって「社会の第一歩」である保育園や保育施設に女性しかいないと、子どもが男性に慣れる機会にはなりません。生活の場に男性がいて、接触があるというのは子どもの情緒の安定にもつながります。

■子どもから見た「男の先生」の存在

子ども達からも、男性保育士は「いっぱい遊んでくれるから大好き!」など、人気があるというケースも多いようです。男性ならではの視点を生かすこともできます。例えば男児の行動や好みについて、自分の体験から理解したり共感したりできるのは強みです。子どもに「男性が保育の仕事をする」姿を見せることで、将来、男性の育児参加や保育関連職への就業につながる可能性もあります。男児も女児も、子どもが「頼りにしたい」と思える存在として、男性保育士の役割は大きくなっていくことでしょう。

■職場に男性保育士がいるメリット

保育士仲間、同僚である女性の保育士から見ても、男性保育士が職場にいると「メリットがある」という意見があります。体力面、力仕事を担ってもらえるということのほかに、防犯面で男性の存在は頼りになります。小さな子どもを守る場所である保育園に、不審者等が侵入したら、と考えたときに女性だけより男性がいたほうが安心、という気持ちです。さらに、保護者と接するとき、とくにクレーム対応などでは、男性の存在があることで相手が感情的になり過ぎるのを抑える、といった効果のあったケースもあるそうです。職場としても、男性保育士がいることでの良い側面が多くあります。「男性だから」と決めつけ過ぎず、男性保育士一人一人に個性を生かして生き生きと活躍してもらえる環境作りが大事ですね。

 4.男性保育士は「続けられない」「結婚できない」?

■男性保育士という職業を選ぶことに「問題」?

保育の現場に男性が働く、ということにはメリットも多く、子どもが好きな男性が職業として「保育士」を選ぶことも普通になってきています。しかし、そもそも職業として選ぶ際に、周囲から「保育士は男性の職業として勧めない」といった声を聞く、という人もいます。その理由は「賃金が低いから」です。一人一人の仕事の仕方が多様化しているとはいえ、社会的には、まだまだ男性には「一家の大黒柱」といったような役割が期待されることが多く、保育士の給与が低いことから「将来、結婚して家族を持つには不十分」と考えられているのです。

■保育士の待遇改善と男女差

近年では「待機児童問題」が深刻さを増すなど、保育という仕事は「求められる」仕事になっています。保育士不足も深刻です。保育士不足の根底に、保育士の給与が低いという問題があり、これに対して政府は2016年4月に「2017年度から保育士の給与を月額2%(約6000円)引き上げる」という方針を示しました。「引き上げは歓迎するが額には大いに不満」という声が多く聞かれる方針ですが、ここに問題があります。男女差です。

■男性保育士の給与とキャリア

「競合他産業との賃金差」がなくなるように処遇を改善するということで政府が示した試算では「女性保育士の平均月給」と「女性の全産業平均月給」を比較しています。「女性」のみで考えると、保育士と他産業での差は、それほど大きくないとも取れます。しかし、男性保育士と男性全体を比較したらどうでしょうか。男性保育士は女性保育士と比較しても、それほど給与に差はありません。男性としては「かなり給与が低い」といえるのです。さらに、保育士には「大幅な昇給」があまりない、という現状があります。主任や園長職など、キャリアアップをはかることでの昇給はありますが、それでも他産業と比較すると給与の伸びは、あまり期待できないのが現実です。保育士が「男性が一生の仕事として選ぶには問題がある」などという声が聞かれるのには、こうした背景があります。

■男性保育士の将来に向けて

男性保育士には、これまで「女性中心」だった世界に飛び込み、努力して道を切り開き、やりがいを感じて働いている人がたくさんいます。まだ周囲の理解が必要な問題もありますが、人材が不足している保育の世界で、男性保育士の良さが認められ、求められることも多くなっていくかもしれません。環境を整備することや偏見をなくすためのアピールも必要となってくるでしょう。そして、政府による待遇改善という前進も、いっそう現実に沿ったものであることが望まれます。