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地域限定保育士の働ける場所と働き方

地域限定保育士
地域限定保育士ってどういう働き方でどういう場所で働けるのか。それを一緒に考えてみましょう

地域限定保育士

2015年の通常国会で「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律」が成立されました。
この法律によってできたのが「地域限定保育士」という存在です。その名の通り、ある地域限定で働くことのできる保育士ということです。
しかし、一体なぜこのような制度ができたのでしょうか?そして、わざわざ地域を限定する意味とはどういうものなのでしょうか。
「地域限定保育士」というものに対して、皆さんのたくさんの疑問を解決すべく今回は、地域限定保育士について紹介していきたいと思います。

地域限定保育士とは?

地域限定保育士とは上にもある「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律」にある「国家戦略特区」という場所で働く保育士のことを言います。
この国家戦略特区というものは、国が特定の地域限定で国や地方自治体の規制を外すことにより、新しい産業を育成し、雇用を生むことを目的としています。保育だけではなく実に様々な業界でたくさんの国家戦略特区が作られており、その保育バージョンが「地域限定保育士」ということになるわけです。

地域限定保育士が2015年度に導入されたのは、神奈川県、大阪府、沖縄県と千葉県の成田市です。2016年度に関しては地域限定保育士試験の開催が大阪府と仙台市の2カ所になった一方で、それ以外の地域では年に2回の保育士試験が実施されました。

地域限定保育士になると、合格から3年間は受験した地域でしか保育士として働くことができませんが、3年目以降はその縛りが解かれ、一般の保育士試験合格者と同じように全国どこでも働くことができるようになります。
地域限定保育士といっても、その試験は一般の保育士試験と内容が違うわけではなりません。合格の難易度もほぼ同じと言われています。

しかし、通常年1回だけの保育士試験に対し、地域限定保育士試験はそれに加えてもう1回行われます。
ご存知の通り、保育士試験は8科目の学科試験と実技試験からなります。そして、1度に全科目合格する必要はなく前の試験で合格した科目は次の試験で免除申請することが可能です。つまり、受験のチャンスが多ければ多いほど保育士資格の取得の可能性は必然的に高くなるわけです。

地域限定保育士試験で合格した科目は次回以降の保育士試験で免除申請できますし、逆に以前の保育士試験で合格した科目も地域限定保育士試験で免除申請ができます。
実際に地域限定保育士試験を受験した人の多くは、以前に保育士試験の受験経験がある人が多くいたようです。
地域限定保育士試験を受験するためにはその自治体に住んでいる必要はありません。極論を言えばどこに住んでいようと、就職する際にその地域に移るという意気込みさえあれば受験することができます。

地域限定保育士の目的

地域限定保育士

では、そもそもなぜこのような制度を導入することになったのでしょうか。
基本的に地域限定保育士制度が実施されている地域は保育士不足が深刻な地域を中心に選ばれています。

保育士が不足している地域に対して集中的に保育士となりうる人材を供給するためにこの制度は作られたわけです。しかし、なぜか保育士不足の深刻な東京都は除外されています。実際2年目の地域限定保育士試験は開催場所が大阪と仙台の2カ所に減らされていることから見受けられるように地域限定保育士制度はまだ試行錯誤の段階にあるのも事実です。地域限定保育士と通常の保育士の違い、地域限定保育士は一般の保育士と比べてもできる仕事自体に違いはありません。地域限定保育士と一般の保育士の違いは何ができるかではなくどこでできるかです。

前にも触れたように地域限定保育士は資格取得後3年間は受験した自治体でしか保育士として働くことはできません。3年目以降は一般の保育士と同じように働けます。
ここでポイントとなるのはあくまでも資格取得後3年間ということです。別に保育士としてその地域で3年間働く必要はありません。保育士以外の仕事をしていても、3年間経過さえすれば普通の保育士と同じようの縛りなく働けるということです。
保育士が特に不足している地域に保育士を供給するために作られたこの制度の目的からすれば若干本末転倒な部分がありますが、現在の制度の実情としてそういうことになっています。

すぐに保育士としての就職は考えていないけど将来を考えて資格取得のために受験するという人は、受験のチャンスを増やせるということもあり、上手に地域限定保育士制度を活用しましょう。
さらにいうと、一般の保育士か地域限定保育士かを決める判断基準となるのは最終的に合格した試験がどちらの試験かということです。

保育士と地域限定保育士の違いとは

例えば、あなたが地域限定保育士試験を受験して学科8科目のうち7科目合格したとしましょう。次の年、一般の保育士試験であなたは残りの1科目を合格、実技試験も合格して晴れて保育士資格を取得することができました。
こういったケースの場合、あなたはほとんどの科目を地域限定保育士試験で合格したにも関わらず、一般の保育士の資格を取得することになります。
これもまた、地域限定保育士制度が作られた目的からすると「本当に意味があるのかな?」と思わざるを得ない制度の抜け穴です。
実際、地域限定保育士試験の受験者の多くが他の都道府県からの受験者だっというデータもあるようです。

地域限定保育士試験でできるだけ多くの科目を合格して、あとは残りの科目と実技試験に次の一般保育士試験に向けて集中する。そういった戦略をとった受験者が多くいたことを匂わせるデータではないでしょうか。

地域限定保育士の成果

これまでいろいろあげたように地域限定保育士には問題点があることは否定できません。しかし、実際どのような成果を挙げているのでしょうか?
それはまだ未知数です。何しろ、制度が始まってまだ2回しか地域限定保育士試験は実施されていません。そして、その2回とも実施したのは大阪府だけ。地域限定保育士制度を導入する代わりに、保育士試験を年2回実施に切り替えるなどいろいろな変更も続いていることもあり、地域限定保育士制度が実際にその地域の保育士不足の実情をどれほど改善したのかはわかりません。

しかし、ただ一つ言えるのは、地域限定保育士制度だけでは絶対に保育士不足の問題は解消しないということです。
事実、保育士資格を持ってはいるものの保育士としては働いていない「潜在保育士」と呼ばれる人がたくさんいます。この潜在保育士と呼ばれる人たちの多くが、保育現場の激務や給与の低さなどの待遇面から保育士を辞めた人たちです。
いくら、地域限定保育士制度を導入して保育士資格を持っている人たちを増やしても、その人たちが働き続けられる環境を整備しなければ結局はこの「潜在保育士」の数を増やすだけです。
もちろん、地域限定保育士のような取り組みも大事ではありますが、待遇改善など多方面から政策を打ち出していくことが今の保育士不足の問題の解決に必要なことではないでしょうか。

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