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保育士の給与って安いの?平均年収・他職種との差など…給料事情を徹底調査!

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保育士 給与
今は保育園不足・保育士不足のため、保育園に入りたいのに入れない待機児童がたくさん存在しています。
その反面、全国で保育士資格を持つ人が110万人を超えると言われているにもかかわらず、実際に保育士の仕事をしている資格保持者は40万人程度です。

このように保育士が不足している背景には、保育士の仕事が他の職種よりも年収が低いため離職者が多いことがあげられます。
そこで今回は、保育士の年収はいくらぐらいなのか、なぜ保育士の給与が安いのかなど、保育士の給与について詳しくご説明します。

今回のポイント

保育士の仕事は忙しく大変なのに、仕事に見合った給料をもらえていない方が多い

保育士の給料には、国から交付される公費が大きくかかわっている

独自で保育士給与改善に対する取り組みを行う自治体も存在している

そもそも、保育士の給与が安い理由って?

保育士の仕事をするためには国家資格が必要です。
大学、短大、専門学校などで専門的な勉強をして保育士資格を取得するか、合格率が約10%の保育士試験に合格して資格を取得することで、保育士として働くことができます。

しかし、国家資格が必要な専門職にもかかわらず、全産業の平均月収と比べても保育士の給与が安いため、保育士の給与について問題視されることがしばしばあります。

それでは、保育士の給与水準が低い理由には、どのようなものがあるのでしょうか?

財源の確保が難しい

施設の広さや職員の数などが国の設置基準を満たしている認可保育園の財源は、各自治体から毎月分配される保育園運営費です。
保育園運営費は、通っている園児たちの保育料と税金によって支払われています。

保育園に在籍している「園児の人数」×「保育単価」で運営費が計算されているので、保育園の園児が多いほど運営費の金額が高くなります。

認可保育園の場合には、園児の人数や施設の広さ、職員の人数などが決まっているので、保育園の運営費がもっと必要だというときでも、勝手に園児の数を増やし、運営費を増やすことができません。

保育園で働く保育士の給与は基本的に保育園を運営する法人ごとに定められていますが、保育園の収入は一定なので、保育士の給与を大きく上げるのが難しい状況にあるのです。

そのため、勤務年数が長くても、昇給額が低い場合が多く、それが原因で初任給のときには他の仕事と同水準だといわれる保育士の給与ですが、勤務年数が長くなるほど他の職種と年収に開きが出てしまうのです。

仕事量に対して給与額が見合わない

保育士の主な仕事は子どもの身の回りの世話をしながら生活習慣を身につけさせるなどの、子どもの保育を行うことです。
しかし、保育士の仕事は保育だけに留まりません。

以下は保育士の仕事内容の一例をあげましたが、毎月の保育園行事や保育方針についての事務や製作などの業務や保護者の対応など、子どもがいないときにも保育士にはさまざまな仕事があります。

保育士の仕事内容

・食事やトイレなどの世話をしながら、年齢に応じて生活習慣を教える

・遊びを通じて子どもに社会性を養わせる

・子どもの健康状態をチェックする

・保護者と連携を取りながら子どもの成長を見守る

・配布物の作成

・行事の計画や実行

保育士の仕事量は膨大で、ときには持ち帰りの残業が発生することもあるほどです。
低い給与水準ながら膨大な仕事量をこなさなければならないことで、給与と仕事量が見合っていないとされています。

私の年収、低すぎ!?保育士の平均給与はいくら?

年収が低い保育士

保育士の仕事は子どもの保育だけではなく、地域とも連携しながら子どもの成長をサポートしさまざまな園行事を行うなど非常に多岐にわたっています。
忙しい保育士の仕事ですが、平均年収はいくらぐらいになるのでしょうか?

保育士の平均年収

厚生労働省の「平成29年度賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均年収は約342万円で平均年齢は35.8歳です。

一方で、同調査の全職種の平均年収は約491万円で、平均年齢は42.5歳です。

全職種と比べると保育士の方が、平均年齢は約7歳若く、平均年収は約150万円低くなっています。
平成24年度の厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、保育士の平均年収は約315万円、平均年齢35歳だったので、平均年収は数年で30万円ほど増えていますが、全職種と比べるとまだ低い水準であることがわかります。

現在の日本では男性保育士の数が少なく、保育士のほとんどが女性ということから、保育士給与を女性だけの数値で見てみると、保育士の平均年齢は36.1歳で平均年収は約340万円、全職種の平均年齢は41.1歳で平均年収は約380万円です。

全体の平均から比べると、平均年収の差はありませんが、平均年齢は保育士の方が若いので年を重ねると離職してしまう人が多いことがうかがえます。

また、保育士の給与は毎年の昇給で大幅に上がることが難しく、主任やリーダーなどの役職につくことで月額手当てが加算されて給与が改善される場合が多いのですが、役職が少なくなかなか給与が上がらないという厳しい状況もあります。

給与が低いことが保育士の仕事に対する大きな不満の一つであり、給与が問題で保育士を辞める人が多いという現実問題があります。

公立保育園と私立保育園の給与の違い

公立の保育園は、市区町村などの地方公共団体が運営している保育園です。そのため公立保育園で働く保育士は公務員ということになります。保育士の給与は公務員給与が反映されているので、公務員給与に準じた昇給が望めます。

一方で私立保育園は社会福祉法人や株式会社が運営しているので、保育士にはそれぞれの運営会社が定める給与規定に準じた給与が支払われています。

私立保育園は、「子ども・子育て支援法」で定められた利用者からの保育料と国や地方から給付される公費を合わせた「公定価格」で決まる保育園運営費で運営しています。

運営費の中から、それぞれの園で使用できる人件費の予算は大体決まっていますが、保育士の給与は、あくまでその運営団体の規定によって定められています。そのため、保育園によって保育士の給与は異なります。

保育士の給与、差がつくポイントはどこ?

保育士の給与で差がつくポイント

保育士として働く場合には、働く園によって給与が異なりますが、その給与の差はなぜ生じてしまうのでしょうか?

働く地域

保育士の給与はその保育園がある地域によって異なります。 保育士の給与を地域別にみると東京都の保育士給与が一番高く、ついで大阪や愛知、福岡など大都市がある自治体で高くなっています。

大都市の給与が高くなる理由は、物価や不動産が高く、生活に必要な給与額が高額になるためです。
また、子どもの人口と保育園の数が多いので、保育士をより多く確保する必要があるために給与が高く設定されていることが挙げられます。

私立の認可保育園の場合は、保育園に支払われる補助金は市区町村によって異なります。そのため補助金の額が高い市区町村の方が保育士の給与が高い傾向にあります。

経験や勤続年数

保育士の給与は勤続年数によって毎年の昇給額が決まっています。昇給額自体は他の業種よりも少ないのですが、毎年少しずつ昇給していきますので、勤続年数が長くなるほど給与額は徐々に上がっていきます。

役職

役職についた場合には、給与計算のベースが変わったり、これまでの給与にプラスして役職手当がついたりすることで昇給が見込めます。保育士の役職には園長や副園長、主任などがあります。

役職手当の額は役職によって異なりますが、役職が上に行くほど給与の額も上がります。
これまでは保育士の仕事には役職が少なかったこともあり、保育士の多くに役職手当がつかないという状況がありました。

施設形態

公立保育園に勤める保育士は公務員になるので、一般的な公務員と同じ金額の給与をもらっています。そのため他の私立保育園の保育士よりもかなり高い給与をもらっているといえるでしょう。

私立保育園には認可保育園と無認可保育園があり、認可保育園は所在地の市区町村が設定している補助金がもらえますが、無認可保育園は園児の保育料のみで運営しているので、運営内容によって保育士の給与額が異なります。多くの認可外保育園では認可保育園より給与が低いといえます。

補助金の金額は保育園の園児数によって変わってくるため、小規模な保育園よりは大規模な保育園の方が補助金収入が多くなり、人件費の予算をしっかりと取ることができるため保育士の給与が高くなる傾向にあります。

給与以外の保育士の待遇

保育士として働く場合には、住宅に関する手当がつくことがあります。
保育士が住んでいる住宅の家賃補助を出している、保育士のために住宅を社宅として借り上げる制度を設けている保育園では、保育士が住宅にかける負担が少なくすみます。

保育士の住宅手当は自治体から支援金が出る場合や保育園から福利厚生として出る場合があり、家計の中で大きな負担になる住宅の補助がしっかりしている保育園では保育士が安心して働きやすいといえます。

毎月一定金額の住宅手当を支給している場合には保育園により住宅手当の金額が異なりますので、十分な住宅手当が支給されるかどうか確認が必要です。

また、借り上げ社宅の制度を取り入れている保育園の場合には、自分で好きな物件を選ぶことはできないのですが部屋の家賃をほとんど園が負担してくれるというメリットがあります。

保育士の給与、今後上がる可能性はあるの?

一般職種と比べて低い保育士の給与、今後上がる可能性はある?
保育士のニーズはあと数年は続くとされていて、地方自治体や施設ごとの対策も期待されるので、今後も保育士の給与が上昇していく可能性はあります。

処遇改善加算で10%以上年収がアップしている!

保育士の給与の平均年収は2013年に約300万円程度でした。給与が上がらないことを理由に離職する保育士が増加し、現在は保育士不足による、待機児童問題が長引いてしまっています。

そのため政府は、保育士の給与水準が低いという問題を解決し、保育士を確保するための政策として、2013年から「処遇改善等加算」により保育士給与の改善が行われました。

処遇改善加算は2013年に月額9,000円を給与に加算するところから始まり、毎年数千円ずつ月の加算額を増やしているため、2017年には処遇改善加算の月額が32,000円となりました。この処遇改善加算によって保育士の年収は以前に比べて約38万円引き上げられています。

さらに、2015年4月からは「子ども・子育て支援新制度」により保育士の給与が平均で3%上昇し、2014年の公務員給与の見直しの影響でも保育士の給与は約2%上がっています。

キャリアアップしやすい新制度がスタート!

国が行う「子ども・子育て支援新制度」の一環として、保育士のキャリアアップをサポートする制度が始まりました。

今まで役職が少なく、キャリアアップが難しかった多くの保育士が役職について、役職手当を受け取ることができるように、2017年に新たな役職を新設しました。

経験年数が3年以上と7年以上の保育士を対象に、都道府県が開催するキャリアアップ研修を修了した後、新設された役職につくと処遇改善の手当がもらえるというものです。

経験年数3年以上の保育士の保育士を対象とした「職務分野別リーダー」になると月額5,000円、7年以上の保育士を対象とした「副主任保育士」「専門リーダー」になると月額40,000円の手当がつきます。

研修の受講者は、園ごとに選出されるので、誰でも受けられるわけではありませんが、中堅の保育士に対する新しい役職が設定され、保育士が昇給する機会が多くなりました。

保育士の給与UPのための取り組み紹介~自治体ごとの処遇改善策~

保育士 給与アップ

保育士の給与改善のためにさまざまな取り組みが行われてはじめていますが、それでもまだ保育士の給与は十分とはいえません。

そのため保育士をより多く確保したい自治体では、自治体ごとの処遇改善策を設けているところもあります。

東京都の「保育士等キャリアアップ補助金」

東京都の保育士等キャリアアップ補助金は、東京都内にある対象の保育施設に勤めている保育士の賃金改善のために交付される補助金です。
保育士がやりがいを持ち、専門性を高める取り組みを補助することで保育サービスの向上を目的としています。

補助金は、正職員、非常勤職員にかかわらず、施設に勤務する職員の給与改善の手当として使用されることが定められています。
毎月初日に在籍している園児の数に応じて計算された補助金が東京都から施設に交付され、施設は保育士の今までの給与を下げることなく公布された金額の半分以上を職員の賃金改善費用に充てる必要があります。

千葉県松戸市の「松戸手当」

松戸市では「保育施設従事者支援補助金」という補助金が設定されているので、正規職員の保育士に対して、施設から出る給料に松戸市の補助金が上乗せされて支給されます。

補助金の月額は勤続年数によって異なり、1年目から12年目までが45,000円、13年目から20年目までが46,000円から72,000円と定められています。この補助金は勤務先の保育園などを経由して、毎月の給与と一緒に支給されます。

松戸市内の全ての保育園でこの補助金を受け取れるわけではありません。制度の対象施設で働くときだけ補助金が支給されるので、対象施設かどうかは、各保育園等に問い合わせる必要があります。

千葉県船橋市の「ふなばし手当」

船橋市の場合には、船橋市内にある私立保育園や認定こども園、小規模保育事業所に勤務する保育士に対して市から支給される「ふなばし手当」という補助金があります。
補助金は市から各保育園等に交付され、保育士へは保育園から手当として給与に上乗せして支給されます。
ふなばし手当は月額42,220円・期末手当73,560円で、1年間の支給合計額は580,200円です。

また、このふなばし手当のほかにも、保育士の家賃負担を軽減させるための補助金があります。保育園が、勤務する保育士のためにアパートなどを借り上げた場合には、市から保育園に家賃補助金が交付し、保育士の家賃の負担を軽減しています。

おわりに
保育士の仕事は業務内容が幅広く、やらなければいけないこともたくさんある大変な仕事です。国家資格が必要となる専門職であるのにかかわらず全国平均の年収よりも低いという事実もあり、これまでは離職する人が多い職業でした。
しかし、近年では全国的な保育士不足を解消するために 国が取り組みを始め保育士の給与が徐々に改善されているということがわかります。やりがいのある保育士の仕事を無理なく続けることができる環境へと変化してきているため、保育士の仕事は将来性が高まっているといえるでしょう。
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参考資料

厚生労働省「保育士確保」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/140131-1.html

文部科学省「子ども・子育て支援新制度の解説」
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2014/07/22/1350064_01_1.pdf#search=’%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%83%BB%E5%AD%90%E8%82%B2%E3%81%A6%E6%94%AF%E6%8F%B4%E6%B3%95+%E5%85%AC%E5%AE%9A%E4%BE%A1%E6%A0%BC

東京都福祉保健局「東京都保育士等キャリアアップ補助金」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/jigyo/kyaria-hoiku.html

千葉県松戸市「松戸市の保育士確保に関する取組み」
https://www.city.matsudo.chiba.jp/kosodate/matsudodekosodate/kosodatenavi/hoikuenyouchien/matsudo_de_hoikushi/hoikusikakuhopage.html

千葉県船橋市「ふなっしーも応援!船橋市内の保育園で働きませんか?」
http://www.city.funabashi.lg.jp/kodomo/hoiku/010/p027165.html

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