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アスペルガー症候群を理解することで子どもも大人も「楽」に生きる

アスペルガー症候群
周囲からの偏見に会うことの多いアスペルガー症候群。しっかりと理解して、子ども達が過ごしやすい環境をつくっていきましょう。

■ネットスラングとしての「アスペルガー症候群」

「アスペルガー症候群」や、それを略した形の「アスペ」という言葉を全く知らない、という人は少ないのではないでしょうか。自分自身や子ども、身近な人等に該当する場合、発達障害についての知識を持っている場合等、アスペルガー症候群への理解も一般的になりつつあります。

しかし、よく知らないけれど聞いたことがある、という人にとって「アスペ」は「悪口」という認識があるのではないでしょうか。「アスペ」は、ネットスラングとして広まっています。ネット上で、あるいは生活の中でも「空気が読めない人」「話の通じない人」という意味で「お前、アスペだろう」などというように、揶揄するような使い方、悪意を持った使い方をされるからです。そんな「アスペ」という形での言葉の使われ方も、ネット上に存在する「あの有名人も『アスペルガー症候群』!!」といった内容の、偏見に満ちた根拠のない記事も、ひどいものです。

■発達障害の知名度と理解度の格差

アスペルガー症候群は発達障害の一種です。発達障害ということに関しても、近年、一般に知識や理解が広まっています。……というよりも「知名度」だけが上がっている、といえるのかもしれません。「発達障害」や、その1つである「アスペルガー症候群」ということを何となく知っている人は増えても、まだまた無理解による差別的な見方や誤解も多いのです。

発達障害は、ある人の脳の発達に生まれつき「通常」と違うことがあるために生じる、さまざまな現象です。病気ではなく、その人の「特性」とされます。通常、つまり大多数と違うという意味で、生きにくさを覚えることもあります。周囲の人が戸惑うこともあります。しかし、その特性を理解し、工夫して生かしていけば、生きにくさを克服し、特性をマイナスではなくプラスの要素として楽に生きることも可能です。発達障害は先天的なもので「治る」ことはありません。治すのではなく、個々の特性と生活や環境を適応させていくことで、その人自身や周囲の人達がより良く暮らしていけます。

■なぜアスペルガー症候群は「悪い」ようにいわれるの?

発達障害を持つ人には、その責任や悪いところは全くありません。しかし、軽々しく悪口や揶揄の言葉として「アスペだから」などという人には、アスペルガー症候群という発達障害による特性は「劣っている」という決めつけがあります。意味もわからずにネットでいわれているからと、ただ口に出したりネットに書き込みをしたりする理解のない人もいます。発達障害のことを知っているにもかかわらず、対象がアスペルガー症候群であるかどうかはもはや関係なく、揶揄する意味であえて使うような人もいます。

アスペルガー症候群の人の特徴(うまくいかないことが多いとされる内容)は「対人関係」と「パターン化した興味や活動」です。他人との距離感がつかみにくいとか「暗黙のルール」のようなことがわからないとか「冗談や皮肉が通じない」といったことが多々あります。

また、自分だけの特殊なルールや特定のものへの興味なども特徴的です。アスペルガー症候群では知能・言語の発達に遅れは見られないので、悪くいう人には「普通の人達の中に『空気が読めない、変な奴』がいて迷惑」と映っているのでしょう。そして、アスペルガー症候群でなくても、その特徴に近い様子を一方的に「劣っているから貶めてもいい」と考えるのでしょう。無理解と差別意識が、そこにはあります。

■改めて「アスペルガー症候群」とは

アスペルガー症候群

 

発達障害、そしてアスペルガー症候群ということの「知名度」が上がっている、ということはすでに述べました。ネットスラングとして使われることからもわかるように、現在では「大人」が「自分はアスペルガー症候群ではないか」と思い医療機関を受診したり、仕事上かかわりのある周囲の人が「そうなのでは」と感じたりということも多いようです。

発達障害の中でも知的に障害がないので、周囲に「変わった人」とみなされているだけで問題なく生活しているアスペルガー症候群の人もいることでしょう。また、発達障害の定義やあらわれ方というものは、とても複雑です。「アスペルガー症候群」という名は、この症例を発見したハンス・アスペルガーさんというオーストリアの医師にちなんでつけられていますが、現在は診断される際の名称としては使われなくなっています。2013年に「DSM-5」という国際的な基準により「自閉症」「注意欠陥多動性障害(ADHD)」などと統合され「自閉症スペクトラム障害(ADS)」と分類されるようになったからです。

自閉症スペクトラム障害(ADS)の特徴は「社会性の低下」です。その中でも、人によって特性が、さまざまなあらわれ方をします。アスペルガー症候群とされるのは、知能の低下がなく、むしろ高い場合も多いにもかかわらず、社会性が低い場合です。

■「甘え」「努力を怠っている」という誤解

知能が低くないのに、対人関係に問題が起こってしまう……。これがアスペルガー症候群の人の苦しみになることがあります。アスペルガー症候群の原因は先天的な脳の発達の「違い」です。子ども時代には「変わった子だね」といわれるだけで、そのまま成人して社会に出ることもあります。そこで初めて「あの人は人に対する気づかいが足りない」「集団の中で適切に行動できないので協調性がない」などといわれたり「自分なりのやり方にこだわって頑固だ」と評されてしまったり、ということが起こります。

そこで「あの人は、ああいう(困った)性格の人なんだ」と思われてしまい、さらには「甘えている」「努力を怠っている」とされることで低く評価されたり周囲に嫌われたりと、本人のせいではないのに苦しむことになるのです。また、アスペルガー症候群であるという診断があっても理解不足から「アスペルガー症候群だから困った性格で人に迷惑をかける」という誤解が生まれてしまうことさえあります。

■本人が困らず苦しまず生きていける状態へ

アスペルガー症候群の人が、特徴的な言動により周囲に誤解されるなどして社会生活がうまく送れず苦しんでいる場合、本人が医療機関を受診し、専門的なサポートを受けることで事態が好転することがあります。努力不足ではなく、一生懸命に努力してもうまくできない、となると「どうしていいかわからない」状態に陥ってしまいますが、専門的なアドバイスを受けたり自分自身の状態を深く理解したりすることで周囲に自分のことを説明してうまくやっていく道筋をつけることもあるのです。

また、反対に診断を受けていなくても「あの人って変わったところがあるよね」などといわれながらも自分で困ることなくやっていけるようなケースもあります。アスペルガー症候群であったり、その傾向があったりといっても、本人が苦しまず自分を生かしていけるのなら、何の問題もないのです。本人も周囲も生きにくさを感じて困ることがなければ、それでいいと思います。

特定の物事へのこだわりを生かして成功する人もいますから、その特性は「悪い」「どうにかしなければならない」と決めつけられるものではないのです。ほかと違うことを「悪い」と決めつける偏った価値観こそ、改められるべきでしょう。

■子どもにアスペルガー症候群の傾向がある場合

これまでにも述べたように、アスペルガー症候群では知能の遅れがないことから、幼児期に診断をすることは難しいとされてきましたが、近年、子どものうちに傾向を見出して診断をすることも多くなってきたようです。例えば保育園や幼稚園などでほかの子に関心がなくいつも一人遊びをしていたり、同じ遊びを延々と繰り返すなどの行動が見られたりした場合、そのような特徴が子どものストレスになっていないか、保護者や保育者が注意深く見てあげることが必要です。

そこで医療機関や専門家に相談し、早期に対策を始めることができれば、子どもが「より楽に生きられる」方向へ進んでいけるでしょう。大切なのは、子どもでも大人でも、その特性がマイナスにならず人生を楽しめることなのです。

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