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心をほぐしてどんな状況でも問題を打開していく「ナラティブアプローチ」とは?

ナラティブアプローチ
保育士として長く続けるためにマインドコントロールを覚える人が多くなりました。今回は、そちらを学んでいきましょう。

「ナラティブアプローチ」という言葉を聞いたことはありますか?ナラティブアプローチは、1990年代に心理の専門職の人たちが生み出した支援方法のひとつです。問題を抱えている人の悩みを聞きだし、会話の中で当人に気づきを与え問題解決に導くため、医療やソーシャルワークなどの分野で効果的な手段として注目を集めています。今回はこのナラティブアプローチについてお届けします。

ナラティブアプローチとは

ナラティブ(narrative)は、日本語では「物語」や「語り」などと訳されます。私たちは日々の生活で、色々な物語を育んでいます。その「物語」には、その人の思考パターンや行動パターンが反映されます。つまり、ナラティブアプローチはその人それぞれが持つ思考パターンや行動パターンを紐解き、他者がその「物語」に新しい視点を加えることで、当人が気づきを得て、気持ちがラクになったり、問題を解決できるという手法なのです。

ナラティブアプローチの5ステップ

ナラティブアプローチは、簡単に言うと下記の5つのステップで悩みを解決に導いていきます。

①問題を抱えている人の悩みを聞き出す

②悩みを抱えている人の話の中で、本人がこだわっている点に注目する

③そのこだわっている点に対して、角度を変えた見方をして本人に気づかせる

④そうすると相手は予想していなかった新しい見方を発見する

⑤その結果、こだわっていた点から視点が変わり、新しい見方によって心が解きほぐされ、本人が問題を乗り越える力を発揮できるようになる

具体的に保育の現場に置き換えて考えてみましょう

 

カウンセリング

 

保育士として働く場合、ママたちに悩みを相談されることも多いでしょう。何気ない普段の出来事でも、実は保育士さんの一言でママたちは救われたりもします。そのため、保育士さんはナラティブアプローチを知っておけば、保護者との信頼関係構築にも役立ちます。では、具体的な悩みを例に挙げて、解決の手順を見てみましょう。

≪我が子が他の子どもに暴力的になってしまうことに悩んでいる保護者≫

保護者:先生、うちの子がわがままで、気に入らないことがあるとすぐ周りのお友達を叩いてしまうんです。私の育て方が悪かったからあんな乱暴な子に育ってしまったんでしょうか。(悩みを聞き出す)

先生:そうですか、育て方が悪かったのかなと考えていらっしゃるんですね。お仕事もされていて大変な中、お子様のことですから気になりますよね。(悩みのポイントをおさえ、平等な立ち位置で共感を示す)

保護者:そうなんです。仕事も大変な時期なので、子どもと一緒にいる時間が少ないので、色々あの子にも不満があるんだと思うんです。だからあんなわがままで乱暴な子になってしまったのかもしれません。

先生:お子様に不満を感じさせているかもしれないと考えていらっしゃるんですね。ちなみに、来週の遠足はお子様は不満を心配がありそうですか?

保護者:遠足はとても楽しみにしています。あの子は植物や動物が大好きなので、たくさん自然に触れられる遠足で、お花を見たり虫を見たりするのが待ち遠しいみたいです!あの子はお花を摘むのは可哀想だと思っているようで、小さなお花も摘み取らないで眺めて楽しむので、珍しいですよね。誰かがお花を摘みそうになったら知らない大人に対してでも大きな声で「やめて!お花が可哀想!」って言うんですよ。

先生:そうなんですね。お子様は植物に対してとっても優しいんですね。知らない人に対してもはっきり意見が言えるのは素晴らしいことですね。(新しい見方を気づかせるきっかけを与える)

保護者:そうですね、確かに植物は大事にしますね。家でも、花瓶の花や植木鉢にも積極的に水やりをしていますし、うるさいぐらいに意見を主張することがよくありますね。

先生:そうですか。お子様は、園でも休み時間にはよく植木のお花を眺めたり、水やりをしているので、私も日頃からお花が大好きで、植物に対する優しさや愛情が深い子なんだなと感じていました。(良いところを積極的に肯定する)

また、先生たちに対しても自分の意見をはっきり伝えてくれるので、意思が明確で芯の通った強い子ですよね。お遊戯会でもリーダーみたいにみんなを引っ張っていってくれるので、他の先生たちも「助かるねー」とよく言っていました。

お子様は、時々、何かのきっかけで強く主張しすぎてわがままに思われたり、その勢いでお友達に暴力をふるってしまうこともあるかもしれませんが、本当は正直で意志が強い、優しい子なんですね。(問題視している点を角度を変えて気づかせる)

 保護者:あぁ、本当ですね。そうなのかもしれません。お友達を園で叩いてしまったあとも、家に帰ってからすごく後悔していて、謝りたいけど素直になれない様子をいつも感じます。(新しい気づきを得る)

先生:そうなんですね。お子様は、本当はとっても優しい子なので、お友達を叩きたくて叩いてるわけではなく、意思が強くて正直なので、勢い余って叩いしまうのかもしれませんね。(新しい見方を気づかせるきっかけを与える)

保護者:そうかもしれません。お友達には優しくしようねとかいろいろ必死に言ってきたつもりですが、そういうのはちゃんと聞いてわかってくれていたのかもしれません。あの子の悪いことろばっかり気になっていましたが、本当はわかってくれていたんですね。(新しい気づきを得る)

先生:そうです、お子様にはいいところがたくさんあります。ちゃんと大事なことをわかっていて、正直で優しい子ですよね。お母様は忙しい中、ちゃんと教育できてきたと私は思いますよ。(相手を肯定して、ネガティブな感情をほぐす)

保護者:仕事が忙しくて母親失格だと思っていましたが、ちゃんと子どもと向き合えていたんのかもしれません。ちょっと気持ちが楽になりました。これからはうちの子の悪いところではなく、いいところをもっとたくさん見つけてあげようと思います。(問題の見方が変わり、当人の気持ちが前向きになる)

ナラティブアプローチの特徴

≪①フラットな関係で問題を解決する≫

ここまで読んでいただけば、ご理解いただけるかもしれませんが、ナラティブアプローチでは、問題を抱えている人と、それを解決に導く人の立場は平等です。これまで、心理の現場では、カウンセラーや医師、保育士や教師などの支援する側が、支援される人(保護者や悩みを抱えている人)に対して、大きな「力の差」があるということが問題視されてきました。

どの現場でも、知識や経験が多い、支援者のほうが強く、支援される側は弱い立場に置かれいました。そうすると、支援される側は、支援者の指示にただ従うだけで、無理なアドバイスを受けたり、プレッシャーを感じてしまい、問題解決が難しかったのです。

≪②質問により気づきを与える≫

それを会話の中で、たくさんの質問を投げかけ、悩みを抱えている人の考えや言葉の背景にあるものを明らかにしていき、少しずつ気づきを与えるます。その結果、当人は新しい見方を発見し、前向きなストーリーを一緒に創り出していくことができるのです。

■まとめ

今回はナラティブアプローチについてご紹介しましたが、いかがでしたか?働く保護者が増える中、ママたちは子どもとの問題、職場や親せき、近所づきあいなど、たくさんのことに悩みをかかえがちです。一般常識に捕らわれすぎて、良い悪いを判断するのではなく、見方を変えて気づきを与えることは、どんな問題解決においても有効な手段になります。出口の見えない難しい状況に思えることも、前向きに新しい見方を増やすことで、様々な問題を解決するヒントになっていくので、ぜひこの機会に意識して取り組んでみてはいかがでしょう?

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