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待機児童問題がこんなに取り上げられているのに、保育園はなぜ増えないのか?

保育 待機児童
待機児童問題は今、注目を浴びているニュースですが実はこの問題は前から囁かれていました。では、何故解決策である保育園を増やさないのでしょうか。

2016年は、杉並区の待機児童問題などがニュースで騒がれていましたが、まさに今、世間は「待機児童と保育園の問題」で大混乱です。共働きの家庭が増えている現代、出産や育休後に女性が社会復帰することを考えている家庭において、これは無視できない問題です。共働きができれば、世帯収入は大幅に増え、結果としてそれは、男性にかかる経済的負担を軽減することにもつながりますよね。

しかし、育休が終わったあとに、子どもの預け先が見つからないようでは、共働きは不可能です。「女性の活用を!一億総活躍社会を!」と言いながら、保育園が足りないのはなぜなのでしょう?今回はこの問題をわかりやすく紐解いていきましょう。

■保育園をつくっても、待機児童は減らない!?

「保育園を増設すれば待機児童問題は解決する」と思っている方も多いかもしれませんが、残念ながらそれだけでは問題は解決しません。実はそんなに機械的に保育園をつくれない、3つの大きな問題があるのです。

≪その①:予算の問題「待遇の悪さによる保育士不足」≫

待機児童の多い都市部において、実は最大の問題は保育園の不足ではなく、保育士の不足なのです。また、土地代が高いことも保育園が増えない要因のひとつです。これらによって、開園に大きくブレーキがかかります。保育園は1人でも保育士が欠けたら、法令違反で開園することができません。

しかし、保育士は低賃金且つ労働時間が長いというイメージも強いため、「資格を持っているし、子供は好きだけど・・・でも働き続けるのは難しい」という声が多く聞かれます。また、子供の命を預かるという責任に加え、保護者の就業の多様化にともない、延長保育の対応やモンスターペアレントの増加、さらには子どもの食物アレルギー対応など、保育士の仕事内容や責任は増える一方です。政府がやっと予算の修正に目を向け始め、少しづつ改善の兆しが見られますが、大幅な改善にはまだ時間がかかりそうです。

≪その②:自治体の問題「自治体の独自ルールにより簡単に作れない保育園」≫
実は、保育園が増えない原因のひとつとして、自治体がブレーキ役になっていることが挙げられます。パン屋やラーメン屋であれば、好きな場所に何軒でもつくることができますが、保育園は認可制になっており自治体が計画を立てているため、自治体が決めたエリアに勝手に保育園を作ることができないというのが現状です。

また、自治体が独自のルールを設けている場合もあり、それが参入障壁を上げています。例えば杉並区は、小規模認可の園長基準に「6年間継続して保育業務に携わった経験」を求めています。半年でも業務を離れたら園長になれません。育休も取れないことになり、経営側や保育士が働きにくい環境を作り上げています。

≪その③:物件の問題「基準を満たすことが難しい」≫

保育園は二方向避難路の確保や新耐震基準を満たしているなど、安全に運営するために必要な要件がどうしても多くなります。例えば、「乳児室又はほふく室は0歳児及び1歳児1人当たり3.3 ㎡(部屋の内法面積) 以上」といった広い面積や「配置する保育士の数は、常時2人を下回ってはならない」なども、保育士確保が難しくなっているため、簡単に要件を満たすことができないのがご理解いただけるでしょう。細かい要件は「認可保育園」「認証保育園」によって異なりますが、どちらにしても簡単にクリアできないということは確かです。

■認可保育園、認証保育園、認可外保育施設って何が違うの?

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先ほど、要件は「認可保育園」「認証保育園」によって異なるとお伝えしましたが、保育施設は大きく分けると「認可保育園」「認証保育園」「認可外の保育園施設」の3つに分類できます。

・認可保育園
施設の広さや設備、保育者の資格や人数などについて、国の基準を満たした保育園

・認証保育園
施設の広さや設備、保育者の資格や人数などについて、都や県など各自治体の基準を満たした保育園

・認可外保育園
認可保育園以外の保育施設。保育料の額は施設ごとに異なり、園庭がないところも多い。

≪その他の用語≫
・認定こども園
幼稚園と保育園を合わせた保育園。数はまだ少ない。

・保育ママ
有資格者や研修を受けた保育ママが主に家庭の中で保育するスタイル。

・預かり保育のある幼稚園
夕方まで預かり保育を実施している幼稚園。(3歳以上が対象)

■そんなにいるの!?「隠れ待機児童」 (内閣府子ども子育て会議資料より)

ここまでを見てくると、色んな保育の形があることがわかります。上記のグラフは待機児童数の推移を表しているのですが、平成27年に日本では23167人の待機児童がいるということがわかります。しかし、ここで理解しておくべきことは、「待機児童」と定義されている対象は、「認可保育園に申し込んだ人だけ」ということです。

つまり、はじめから認可保育園は諦めて申し込まず、認可外保育園に入れた人たちは待機児童とは数えません。さらに言えば、子育てが落ち着いてきて働き出そうと考えて保育園を探している専業主婦層も数に入っていません。そのため、「隠れ待機児童」は実は全国に80万人以上いると言われているのです。
隠れ待機児童が多すぎる結果、「申し込みを受け付けている役所で泣いて嘆願書を提出した」や「保育に欠けることを証明するためそのために戸籍上だけ離婚をした」など、真実かはわかりませんが都市伝説のような話が巷では行き交っているようです。いずれにせよ、待機児童問題が日本の今後を考えるにあたって避けては通れない非常に大きな問題になっていることが伺えます。

■私たちにできることを考えてみましょう!

保育園が増えても待機児童問題が簡単に解決しない理由をご理解いただけたでしょうか?しかし、保育園に入れないかもしれないと嘆いていても何も解決しません。そこで、明日から私たちでもできることを考えてみました!一緒に前向きに行動していきませんか?

1、認可保育園以外も検討する

保育園にはいろいろな種類があるとお伝えしましたが、やはり大規模な認可保育園に利用者が集中します。しかし、実はよく調べるといい小規模保育もたくさんあるのです。保育園でなく、保育ママ等でも、保育ママさんの自宅で2~3人を丁寧に保育するようなスタイルのため、家庭に近い形で保育ができていいという話も聞きます。

これを機に、認可保育園以外にも目を向けてみてはいかがでしょう?保育士としても、保育ママとして自営業のようなスタイルで働くことにより、責任はもちろん伴いますが、口コミで評判になって固定客がつけば収入アップも期待できるかもしれません。

2、保育士の重要性を再認識する

保育士が不足している背景には、その大きな負担や低賃金問題があると言いましたが、保護者側としても「保育園に要求しすぎていないか?」と自問自答する必要があるかもしれません。「お金を払っているのだから預かってもらえて当たり前」ではなく、大事な子どもを見てもらっているという感謝の気持ちを持って、世論の流れを機に保育士という職種の存在の重要性を再度考え直してみる必要があるのではないでしょうか?

保育士の待遇が改善されればより保育園に入りやすくなって、良い先生に子供を見てもらえる可能性が高まるため、保護者の立場からしても安心ですよね。

3、選挙に行く

保育園というのは国や自治体の補助金で成り立っています。そのため、若年層、子育て層の投票率をあげて、もっと子育て支援に予算を割いてもらいましょう。「高齢者の投票率が高いから、高齢者向けの政策を」ではなく、「国の未来を作る子どもたちのための政策を!」と訴えるために、投票に行きましょう。

待機児童問題は、今日明日で解決するような問題ではありませんが、保育士としても保護者としても、小さくてもできることがありますよね。落ち込んだり文句を言うよりも、日本の未来を明るくするためにできることから少しずつでも、一緒に取り組んでいきませんか?

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