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ピラミッドメソッドは子どもと保育者に変化をもたらす教育法

ピラミッドメソッド
最近、注目を浴びたピラミッド・メソッド。オランダの世界一幸せな子ども達を育てている教育方法とはどんなものでしょうか。

 

保育士、保育

 

 

■「子どもが幸福な国」「育成大国」オランダ生まれの幼児教育

「ピラミッドメソッド」というオランダの幼児教育がすごいらしい……。

最近、筆者がそんな会話や口コミを見聞きする機会が何度かありました。なんでも「ピラミッドメソッド」を生んだオランダは「子どもが幸せな国らしい」とか「サッカー選手や建築家など『育成』ということに関して最先端」とか……。確かにオランダは、ユニセフが発表する「先進国における子どもの幸福度」というレポートで、2007年と2013年に「総合的な子どもの幸せ」1位になっています。

オランダのサッカーが強いのは、子ども時代から選手が育成組織に所属し、確立されたシステムのもとに指導されるから、というのはサッカー界では知られている話のようです。サッカーのほか建築でも「大国」と呼ばれることがある理由が教育にあるのかもしれません。そんなオランダという国で生まれた話題の教育法「ピラミッド・メソッド」について解説していきます。

■「子どもの自主性を尊重する」方法

近年、日本でも「ピラミッドメソッド」を導入する保育園等が増えています。この方法を取り入れた結果として、実際に園の子ども達の「自分で解決しようとする力」がついたり「自信をもって」行動したりするようになったという声もあり注目されています。子どもだけでなく、保育者にも良い変化が起こるという実例も報告されている、このピラミッドメソッド。どのような考え方と方法で子どもを導いていくのでしょうか。

 ■ピラミッド・メソッドを作ったCito(シト)って何?

ピラミッドメソッドはCito(シト)という組織で作られました。Citoは、もともとはオランダ政府が1968年に設立した「オランダ王立教育評価機関」というものでした。1999年に民営化され、オランダ国内だけでなく世界の教育機関と協力関係にあるヨーロッパ有数の子どもの教育評価(学力テスト)の組織となっています。

ここで1994年までに、その教育における膨大な研究実績をもとに作られたのがピラミッド・メソッドです。開発者ジェフ・フォン・カルクさん(当時Citoに勤務)によって、さまざまな教育理論からまとめられ完成しました。歴史と経験に裏付けされた理論なのです。

■なぜ「ピラミッド」という名前なの?

「ピラミッドメソッド」という名前は、その理論が四角錐(ピラミッド)型の構造になっていることから付けられています。開発者カルクさんが「理論と実践」をわかりやすくするため考えたのです。ピラミッドの「底」には四角形の部分があります。それを4分割し、4つの基礎的な理論「子どもの主体性」「保育者の支援」「寄り添う」「距離を置く」と定義して、ピラミッドを支える「4つの基礎石」と考えます。その基礎の上に実践として「自由な遊び」があり、さらに「プロジェクト(学び)」が積み重なり、さらに「(保育者が)教える遊び」が積み重なります。「子どもの自主性」と「大人の手助け」が3段階で示されます。基礎の上に実践を積み上げて形成されるので「ピラミッド・メソッド」なのです。オランダ語でピラミッドを意味する「ピラミーデ」とも呼ばれます。

 

■子どもが自分で判断して自然に行動できる環境

ピラミッドメソッドでは、子どもが過ごす場所(保育室)の環境が重要視されています。保育室のあり方こそが、子どもの主体性を決めると考えられています。保育室は、子どもが「見て」、自分がここで1日、何をしたいか、どうすればいいのかを自分で決められるような作りになっているのです。

保育者が「みんな」に指示したり、指導したりするのではなく、一人一人が、その発達に合わせて「主体的に」行動するように促します。保育室においては、子どもは1人、あるいは少人数のグループで行動します。この場所で生活する「ルール」や時間の区切りといったことも、子ども自身がわかって、自ら判断できるようになっているのがピラミッド・メソッドを実践する「場」です。

■子ども一人一人が行動し、保育者が支える

ピラミッドメソッドでは、子ども達が自分で考え、決定し、行動する力を身につけられるようにします。ピラミッドの「基礎石その1:子どもの主体性」は、子ども自身が何かを「やってみたい」と意欲を持つことです。その自主的な「やる気」のためには、子どもが安心できること、守られていることが前提として必要です。

不安な気持ちだったら、何かを自分からやってみたいとは思いませんよね。だから、そのために「基礎石その2:保育者の支援」があります。安心できる環境(保育室)を整えて、保育者から個々に合わせた働きかけをしていきます。子どもは、保育者がいることで安心して自信を持って、自然に遊び、学ぶことができます。

■安心できる楽しさと、可能性の広がり

「基礎石その3:寄り添う」というのは、保育者側が、子ども達にとって興味や関心を持てる遊びを準備することから始まっています。そこから「これならできる」という安心感と楽しさにつながっていくというわけです。そして「基礎石その4:距離を置く」にも発展します。

安心して「できる」ことがあって自信を持てた子どもは、次は「できないかも」ということに挑戦しようと思えます。自分の世界、自分の可能性を見えないものや抽象的なものにまで広げていけるのです。整った環境があって、4つの基礎があるからこそ、子ども達は一人一人に合う形で安心して自主的に遊び、楽しみ、自分を肯定し、成長していけます。ここまでを実践の第一段階「自由な遊び」の中でも叶えることができます。

 

■ピラミッドメソッドの「プロジェクト」とは?

4つの基礎の上に「テーマ」をもって組まれているのが、ピラミッド・メソッドにおける「プロジェクト」です。テーマというのは、例えば「大きさ」「数」「空間」などといったものです。プロジェクトは、ねらいをはっきりとさせ、期間を決めて、その間に難易度を上げながら子どもたちに繰り返して取り組んでもらうシステムを取ります。

「数」なら「数字が出てくる絵本を読む」「実際に手に取れるものの数を数える」「自分の年齢を数える」など、目的をもって実践し、理解を深めていきます。子ども自身が興味を持ち、何かを「わかる」ことに喜びを感じられるよう、遊びや生活と学びがつながるようにしていきます。テーマというものをきっかけに、一人一人が世界をさらに広げていけるようになります。

■子ども一人一人の最適の「発達」のために保育者は

自由な遊びやプロジェクトを通じ、保育者は子ども達一人一人の成長を見て、発達を促していきます。この「発達」ということについて、ピラミッドメソッドでは「個性」「情緒」「知覚」「言葉」「思考」「空間と時間の理解」「運動」「芸術」の8領域に分類して考えます。これまで、子どもはこの各領域でどのように伸びてきたのか、今後はどのようになっていきそうなのか、それを見極め、現時点ではその子に何が必要かを判断、実行するのが保育者の役目です。子どもに対して、保育者も「主体的」でなければできないことです。

子どもから保育者に、自ら「何をしたいのか」「何を手助けしてほしいか」具体的に伝えることができるようになります。保育者も子どもの個性や成長がはっきりと見えるようになり、子どもに深く関わっていくことができます。子どもも、保育者も変わるのがピラミッド・メソッドの特徴です。

■保育者の立場から見たピラミッドメソッド

ピラミッド・メソッドは、子どもの主体性とともに保育者の主体性が確立される教育法でもあります。理論が明確で基礎と実践がきちんと定まっているので、保育者の立場からも安心して進めていけるのもポイントです。保育者同士で、保育の意見交換や相談をする際にも共通認識があるのでやりやすくなります。また、子ども一人一人をよく見ていこうとしたとき、その「発達」のめやすがあるので自信を持って働きかけていけます。

保育、幼児教育の現場で、実際にピラミッド・メソッドを取り入れ、さまざまなメリットを感じているという声が多くあるようです。オランダで生まれ、日本でのスタートは2003年というピラミッド・メソッド。現在も注目されていますが、今後、保育業界の中でどのように影響していくのか、ということにも興味を引かれますね。

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