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今、保育士が知っておくべき、海外の教育法「モンテッソーリ教育」と「アガッツィ教育」とは?

モンテッソーリとアガッツィ
「モンテッソーリ教育」と「アガッツィ教育」。どちらも昔からある代表的な教育法ですが、どのような違いがあるのでしょうか。

グローバル化が多方面で進む中で、保育の現場でも海外の教育法を取り入れている保育所や幼稚園が増えています。その中でも、今回は徐々に日本でも広がりつつある「モンテッソーリ教育法」と「アガッツィ教育法」についてまとめました。

 

モンテッソーリ教育法は、Facebook創設者マーク・ザッカーバーグやAmazon.comの創立者ジェフ・ベゾスが受けていた教育法として有名です。一方、アガッツィ教育法は現代において最も一般的な幼児教育法としてイタリア全土に浸透しています。

モンテッソーリ教育法、アガッツィ教育法、どちらも1880年代ごろにイタリアで生まれたのですが、時に、モンテッソーリ法は、「個々の自立を促し、好きなことを好きなだけやらせる系」、アガッツィ法は、「保育園を家庭の延長とし、兄弟愛を育てる系」 などと言われて比較されることもあります。しかし、ぞれぞれの特徴を詳しく知っている人は少ないでしょう。各々の教育概念を理解して、日本でも広がりつつあるこの2つの教育法を今後の保育の現場で生かせるように学んでいきましょう。

≪モンテッソーリ教育法とは≫

医学者マリア・モンテッソーリによって考案された教育法です。もともとモンテッソーリは、障がいを持った子供たちを対象に研究を始め、成果をあげていきました。その後、健常児を対象にこの教育法を確立しました。モンテッソーリ教育法では、子供の行動が科学的、生理学的に研究されており、子供が何かに集中して活動することが重要とされており、大人は集中を促す教材と環境を整えることが大切と言われています。何かに集中するためには手を動かす作業が多くなり、そのためモンテッソーリ教育を採用している保育園や幼稚園では、教材は手を使って扱える物が多く用意されています。一斉保育の機会よりも個々の集中した活動が中心となります。モンテッソーリ教育法は、世界中の幼児教育界に影響を与えており、Facebook創設者マーク・ザッカーバーグやAmazon.comの創立者ジェフ・ベゾスもこの教育法を受けていたことは有名な話です。

≪アガッツィ教育法とは≫

約120年前にイタリアの姉妹が編み出したのがアガッツィ教育法です。現代において最も一般的な幼児教育法としてイタリア全土に浸透しています。アガッツィ法の特徴は、大きく2つあります。1つ目は、グローバル化に対応する子供を育てるための母性的な教師の存在に注目し、母性と道徳の関係を重視した教育法であるということです。情緒的且つ母性的な教師が子供に関わり、「教師が子供の欲求に積極的に応えることで、子供の道徳心を育てる」という考えに基づいている点です。2つ目は子供たちが兄弟姉妹愛を学ぶために縦割り保育を重視しているという点です。この異年齢児が関わる縦割り保育は「アガッツィ園」と呼ばれることもあります。基本的に、生活指導に重点を置いている教育法で、キーワードは「家庭的雰囲気」です。

■「モンテッソーリ教育」と「アガッツィ教育」は何がどう違う?

モンテッソーリ アガッツィ

≪衛生教育≫

1880年代のイタリアは衛生環境が非常に悪く、マラリアや皮膚病などの感染症が問題になっていました。そんな中で生まれたモンテッソーリ教育とアガッツィ教育は、どちらも衛生的教育を重視していました。子供たちが毎日行う、手洗いやトイレトレーニング、片付けを通して身の回りを清潔に保つことがいかに大切かを教えていますが、特にモンテッソーリ教育では、食事内容を改善したり、学校に医者を配置して子供に何かあったときに迅速に専門家が対処できる環境を整えるなど、子供の衛生的ケアを徹底させることに注力していました。

≪「家」の捉え方≫

モンテッソーリ教育でもアガッツィ教育でも、「家」は子供たちにとって重要な場所であると捉えています。しかし、モンテッソーリ教育では、「科学的に考えられた理想の学校」が「家」であり、その理想の家を取り入れた場所が保育園や学校である、という教育メソッドをベースにしています。

一方、アガッツィ教育では、保育園や学校は家庭の延長であると捉え、子供にとっての最も自然な環境は「家」なので、保育園や学校でも「家庭的な雰囲気作り」を重視している点です。これが両者の「家」の捉え方において異なる点と言えるでしょう。

≪玩具≫

モンテッソーリ教育では、子供の自主性を伸ばすことを重視しています、その特徴は子供たちが遊ぶおもちゃにも顕著に表れています。医学者であったモンテッソーリが発明したこともあって、絵カード、文字カードなど、それぞれの年齢や発達段階に対応し開発されたおもちゃを使い、彩り豊かに子供の五感を育てることができるよう、目に入ったもの感じるものを感覚的に自発的に学んでいくことを促すようなおもちゃがたくさんあります。そのため、本格的なモンテッソーリ教育の玩具は比較的高価であることが多いです。

アガッツィ教育では、保育園や幼稚園は「家庭の延長」という考えがベースにあるため、独自の玩具が開発されているというより、子供が自分の所有物を見分けやすいように発案した、幼児ひとりずつの固有のマーク「コントラッセーニ」が特徴的です。最近では個人情報の問題で所有物に名前を書かない園もありますが、日本でも昔は子供たちが自分たちの所有物すべてに名前を書くのは当たり前でしたよね?これは日本の保育現場においてアガッツィ教育の影響を受けたことを示しているとも言われています。

≪保育士や教師の役割≫

モンテッソーリ教育において、保育士や教師は環境の一部としてとらえ、子供の自立を促す「サポート役」であると考えられています。そのため、子供のすることを邪魔しないように環境を整える援助者として行動を徹底することが重要とされています。

しかし、アガッツィ教育においては、保育士や教師は母性や愛情を持って子供と接し、常に教師が子供と一緒に過ごし、落ち着いた環境を提供することが大切であると掲げられています。そのため、教師の存在がいつも近くにあることで、子供によってはいつでもすぐに甘えられる、安心できる環境になっています。そのため、モンテッソーリ教育での「自立」よりは「家庭的・母性的感覚」がまさに重要視されており、このポイントが最も大きな違いと言えるでしょう。

≪言語教育≫

モンテッソーリ教育の初期の対象は障がいを持った子供たちでした。そして当時の社会的混乱の影響も併せて、いかに識字率を上げるかを重視していました。そのため、感じたままに好きなことを好きなだけさせる「感覚的教育」と、幼児期から「読み・書き」などの学習を取り入れることが重要であると謳っていました。

一方アガッツィ教育では、「保育園は家庭の延長」という考えが基礎にあるため、「読み・書き」よりも、「話し言葉」が重要で、モンテッソーリ教育よりは、無理に子供たちに識字率向上のための勉強をさせるのではなく、日常生活の中で自然に言葉を覚えていくことが大切と捉えていました。

■「モンテッソーリ教育」と「アガッツィ教育」を保育の現場に取り入れるには?

モンテッソーリ教育とアガッツィ教育の共通点は、子供の年齢や発達段階、興味に応じて、環境が整えられることを理想としていることです。子供たちがその環境の主人公として、自ら環境を作っていく想像力を養うことが期待されています。そして、「家」や「家族」という存在を重要視している点も大きな共通点のひとつです。

そして保育士や教師、保護者など大人の立場として両者に共通していることは、子供のことをしっかり見てあげること、考えてあげる事です。それは、この2つの教育法に限った事ではないでしょう。どの教育法が正解、不正解など、答えはありませんが、子供の個性を尊重し、一人ひとりに合った教育法や学習法を周囲の大人が考えてあげること、その子にとって、また、保育士として自身がこれからも子供と接して行く中で、どのような環境を提供できるか、その子がどんな風に育って欲しいかをゆっくり考えて、保護者の方を含めて話し合っていくのが最も重要でしょう。

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