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横浜市の待機児童問題への取り組みの現在

横浜市 待機児童
2013年に待機児童0になった横浜市。数年前までは、東京より待機児童問題が深刻だったはずがどのようにして待機児童0にしたのか。また、新たな保留児童とは一体なんでしょうか。

2013年「待機児童ゼロ」達成から3年、申し込み集中と「保留児童」

■政府が目指す「待機児童ゼロ」

政府が「ニッポン1億総活躍プラン」案を決定したのは2016年5月18日。この中には「待機児童解消」への具体策が盛り込まれています。深刻な保育士不足に対し、2017年度から月給のうち国が負担する分などの2%(平均6000円)引き上げ、さらに経験に応じて最大4万円上乗せ、などが明記されています。保育士の待遇改善による人手不足解消は、待機児童問題の解決に欠かせません。同案では保育施設の整備と合わせ、保育士人材を確保して保育枠を50万人分増やし、2017年度末までに「待機児童ゼロ」を目指す、としています。

横浜市は2013年「待機児童ゼロ」達成

待機児童問題の深刻さは、たびたび大きな話題となります。2016年2月に「保育園落ちた日本死ね!!!」というブログ記事が注目され、国会でも取り上げられたのは記憶に新しいですね。そんな待機児童の話題の中で、政府も明言した「待機児童ゼロ」をキーワードにすると思い出されるのが神奈川県横浜市の待機児童問題への取り組みです。横浜市は2013年に「待機児童ゼロを達成した」と発表しました。わずか3年前の2010年には待機児童数が1552人に上り全国ワーストワンだったにもかかわらず、短期間での改善に至ったことから、政府も「横浜方式」を全国展開したいと表明するまでに高く評価されました。

横浜市の待機児童問題への取り組み、これまでとこれから

横浜市の待機児童問題へのこれまでの取り組み、今後の課題などについて説明していきます。「ゼロ達成」から3年が経過した2016年4月、横浜市は4月1日時点の待機児童数は7人だったこと、保育所の利用申込者数は6万1873人と過去最多だったことなどを発表しました。政令指定都市の横浜市では、もともと子育て世代の保育施設へのニーズが高く、2004年に待機児童数が1190人に達し全国ワーストワンとなってしまいました。2003年から2005年にかけて保育所整備を進め定員増をはかったことで、2006年には待機児童数は353人まで減少しています。しかし、ここで「解決」とならないのが待機児童問題の難しさです。

待機児童問題、対策と需要の「いたちごっこ」

保育施設を充実させて待機児童の減少が実現した横浜市。その結果……。「子育てしやすい」自治体と評価されて横浜市の「人気」が高まります。そして子育て世代が流入します。さらに保育施設の入所希望者が増え、施設の充実と希望者増加の「いたちごっこ」となります。2007年からは待機児童の数は増加に転じてしまい、2010年にふたたび全国ワーストワンになってしまったのです。ここから3年で「待機児童ゼロ」を達成するわけですが、新たな取り組みだけでなく、継続してきた取り組みもあります。

横浜市独自の待機児童問題への取り組み

継続してきたものの1つ「横浜保育室」は、横浜市独自の基準に沿って助成を受けている「認可外保育施設」で、厚生労働省が定めているよりも園児1人あたりの床面積や保育士の配置人数の基準が緩和されています。また、早くから認可保育所の運営に株式会社の参入を認めていました。2009年に就任した林文子市長のもとに「保育所待機児童解消プロジェクト」が立ち上げられると、とくに子どもを持つ保護者のニーズと、保育サービスのマッチングに力が注がれるようになりました。

「保育コンシェルジュ」などの成功

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2011年からは横浜市各区などに「保育コンシェルジュ」という窓口を設けて保護者の相談に応じ、個々に最も合う施設やサービスを紹介するようになりました。保育施設の整備というハード面と、保育コンシェルジュなどのソフト面の施策が両立したことで、待機児童数の減少につながったといっていいでしょう。結果として2013年、林市長による「待機児童ゼロ」達成の「宣言」は大きな話題となり、多くの自治体が「横浜方式」を参考に待機児童問題に取り組むこととなりました。保育コンシェルジュについてはこちらの記事を参照してください。

待機児童ゼロへの救世主!? 話題の「保育コンシェルジュ」とは?

横浜市の「待機児童ゼロ」には批判も

2013年の「待機児童ゼロ」達成が発表された際、横浜市に対しては賞賛ばかりではなく批判も寄せられました。それは「ゼロ」といっているにもかかわらず、実際には「保育園に入れない子ども」がたくさんいる、というものです。つまり、待機児童数の数え方(カウント方法)に「からくり」「数字のマジック」があり、実態に即していない、というのです。待機児童をカウントする際には希望の「認可保育所」に入れずに待機状態になっている子ども、という定義がありますが、そこに「例外」があるのです。

問題は「保留児童」だった

例外とは何か。認可保育所に申し込みをして入ることができなかったけれど、認可外保育施設等に入ったら、その子どもの数は除外してカウントしてよいことになっています。また、通える範囲の施設であっても希望する施設ではないから、という理由で断っているケース、保護者が育児休業中だったり自宅で求職活動をしたりしているというケースも横浜市のカウントでは除外されています。これらの除外された「希望通りの保育所に入所できていない」子どもが、2013年の「待機児童ゼロ」発表の際に1746人いました。「保留児童」と呼ばれる存在です。

横浜市の保育ニーズは高まる一方

「待機児童ゼロ」の発表以来、横浜市への保育所利用申請は増え続けています。「ゼロ」発表の2013年には申請数は4万8818人でした。翌2014年には5万2932人、2015年には5万7526人、2016年には、すでにお伝えしている通り6万1873人となり、最多を更新しました。背景には、これまで「保育所に入れるのは難しいから」とあきらめていた人も期待を込めて申請するようになったことや、保育所が充実した横浜市への期待からの転入などがあります。

「待機児童ゼロ」への期待と「保留児童」という現実

横浜市に保育所利用申請をする人達は「待機児童ゼロができる市なんだから簡単に保育所に入れられる」と思っているかもしれません。それで申請した結果、希望通りにならず「保留児童」となってしまったら……。期待が外れた、と感じてしまいますよね。横浜市は2013年に「待機児童数ゼロ」を達成してから、2014年には20人、2015年には8人、2016年には7人で、3年連続「ゼロ達成ならず」となっています。そして2016年だけでいうと、待機児童は7人ですが、保留児童は3117人に上り、前年と比較して583人、増えています。保留児童の減少をはかっていかなければなりません。

横浜市の保育施策の現状

横浜市は常に「待機児童ゼロ」を目指して取り組みを続けています。保育所利用申請数増加と、それにともなう保留児童の増加に対しても、手をこまねいているわけではありません。2015年から2016年にかけて、認可保育所の定員1302人増などを実現していることもあり、施策に一定の結果は出ています。しかし、保育施設利用の申請の増加に追い付いていないのが現状です。その理由は、横浜市の発表によると「市北部の利用申請数が大幅に増加している」ことです。市北部を、大規模な宅地開発などによってニーズが高まっている地域としています。

横浜市の現在、そして今後の取り組み

横浜市という自治体の中でも地域間で実態に差があり、さまざまなニーズがあります。横浜市は、とくに保育施設の整備が必要な地域は「重点整備地域」として、賃貸料に補助金を出すなどしていきます。また、保育士の確保を喫緊の課題として、保育士用の住宅借り上げを実施する保育事業者への経費助成等も行っています。保育コンシェルジュなど、きめ細かい対応をしてきた横浜市が、今後の課題にどのような独自の取り組みを加えていくのかが注目されています。

横浜市、そして各自治体と国の待機児童問題対策

待機児童問題には、それぞれの地域、そして個々のケースに見合ったサポートが必要です。地域や保育サービス利用者、それぞれのケースに合わせるということは横浜市だけではなく全国の自治体や国の保育施策にとっても大切なことです。「横浜方式」が全ての自治体にあてはまるわけではありませんので、それぞれが工夫をして地域や個人にフィットする施策やサービスを実施していく必要があるのです。

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