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エリクソンの心理社会的発達理論にみる乳幼児の成長

エリクソン,心理学
エリクソンの心理学は有名ですよね。子どもが年齢ごとに見せる特色とその時期に気を付けることを提示してエリクソン。それによる成長期の反応をしっかり見ていきましょう。

エリクソンの心理社会的発達理論

アメリカ合衆国の発達心理学者で、精神分析家のE・H・エリクソンが提唱した「心理社会的発達理論」を聞いたことがありますか?この理論を知ることで自分の今の段階や感情を客観的に理解できるだけでなく、パートナーや子どもたち、職場の同僚の気持ちなどに対しても気づきを得るきっかけになるかもしれません。

今回は、0歳の乳児期から、子育てを終えて退職する老年期まで、一生の間に劣等感や絶望、孤独を感じたり、自立して自己実現していくなど、複雑且つ興味深く人が成長し変化していく過程を、この理論に沿って紐解いていきましょう。

発達段階における乗り越えるべき課題と危機!心理社会的発達理論の基本となる考え方

エリクソンの「心理社会的発達理論」は、人が生まれてから死ぬまでの間に、心理社会的にどのように発達するかに関する理論で、この理論が発表されたのは20世紀の話ですが、今でもなお人の発達を考える上で重要な理論の一つとされています。

 

この理論では、「人は生まれた時から予定された発達段階に沿って成長するもの」と考えられており、各発達段階にはそれぞれ乗り越えるべき発達課題と心理社会的危機が設定されています。

そして、発達課題がどのように解決されるか、または解決されないかによって、その後の人格形成に影響を及ぼすとされています。

8つの発達段階

心理社会的発達理論では、発達段階が8段階に分けられており、各段階の発達課題がそれぞれ対の形で表記されています。

1.乳児期:基本的信頼感と不信感

2.幼児前期:自律性と恥・羞恥心

3.幼児後期:自発性と罪悪感

4.児童期・学齢期:勤勉性と劣等感

5.青年期:アイデンティティと同一性の拡散

6.成人期:親密性と孤立

7.壮年期:世代性と停滞性

8.老年期:自己統合と絶望

乳児期(0歳~1歳半):基本的信頼感と不信感

乳児期の発達課題は「基本的信頼感と不信感」です。

幼いうちに、両親や周囲の人から抱っこしてもらったり、おむつを交換してもらい、たくさんケアしてもらうことで、基本的信頼感が育まれます。

この時期に十分にケアしてもらえないと、安心感が持てず、自己肯定間や自信もなくなり、自分に対しても他人に対しても不信感が高まります。

★この時期の注意点★

乳児期に芽生えた不信感は払しょくすることが難しく、その後の人生に大きく影響するため、この時期にたくさんスキンシップをして、基本的信頼感をしっかり育むことは非常に重要です。

幼児前期(1歳半~4歳):自律性と恥と羞恥心

この時期は、子どもが肉体的に成長して、自分の意思で行動できるようになる時期のため、やんちゃをして怒られるなど、乳児期のようにありのままを受け入れてもらえなくなります。また、保育園に通うようになり、両親と一緒に過ごす時間が短くなるため、子供は不安を感じやすくなります。そのため、幼児前期の発達課題は「自律性と恥と羞恥心」です。

挨拶やトイレトレーニング、お絵かきや積み木遊びなどを通して、様々なことがうまくできるようになれば褒められ、失敗すると恥ずかしい思いや悔しい思いをする経験を積み重ねます。それにより自律性を身につけようとします。

★この時期の注意点★

この時期に過剰に干渉されたり、頭ごなしに叱られると、子どもは自分の行動にどんどん自信をなくしてしまいます。子供を信じて自由にならせてあげる場面を作ること、イライラしても頭ごなしに怒らないで、ゆっくり向き合って問題を一緒に解決する姿勢を持ちましょう。

幼児後期(4歳~6歳):自発性と罪悪感

 

エリクソン 心理学

 

自分の意思で行動する一方で自制心が育まれていき、ルールを守ったり、両親や友達に合わせたりできるようになる幼児後期の発達課題は「自発性と罪悪感」です。

怪我や怖い思いを知らない子供たちは様々なことに果敢にチャレンジしていく自発性が高まる時期ですが、しかし、失敗して叱られたり失望されたりするのではないかという恐れや罪悪感を感じるようになります。

★この時期の注意点★

この時期に両親や保育士などの先生が子供を他の子と比べすぎたり、怒りすぎると、自発的に行動するにが苦手な子になってしまうので注意しましょう。

児童期・学齢期(6歳~12歳):勤勉性と劣等感

学校に入り、集団生活に適応していく児童期・学齢期は、座学として一気に勉強量が多くなる時期でもあります。そのため、この時期の発達課題は「勤勉性と劣等感」です。

この時期の勤勉性とは、授業や遊びなど、社会に関心を示して自発的に参加しようとしたり、宿題を終わらせること、授業で正解することで周囲から認めらる喜びや快感を学習することです。

★この時期の注意点★

勉強が苦手な子もいますが、それによって周囲に認められない経験が積み重なると、自信喪失により劣等感を募らせていきます。劣等感が募ることで、友達関係や学力など様々なところに影響を及ぼし、不登校になる可能性も高まるため、その子の良いところや得意なことを見つけて伸ばしてあげましょう。

青年期(12歳~30歳頃):アイデンティティと同一性の拡散

青年期の発達課題は「アイデンティティと同一性の拡散」です。

この時期は男らしさや女らしさを意識し始め、性的欲求が高まる一方で、「自分とはどんな人間なのか、何になりたいのか」と、自分に関心が向くようになります。

周囲の人が徐々に得意なことや好きなことを見つけていく中で、自分だけ何か個性や得意なこと、好きなことを見つけられないで焦りを感じる時期でもあります。これらが見つかると、アイデンティティを確立でき、自信を持てるようになります。

もがき苦しみ、悩みながらも、年齢を重ねることで自分なりの価値観や仕事などを見出して、社会生活を送っていきます。

★この時期の注意点★

心も体も揺れ動く不安定な時期なので、自分のことが分からなくなって混乱し、アイデンティティを確立できないまま成長すると、人格や情緒が安定せず、社会にもうまく適応できなくなってしまいがちです。

たくさんコミュニケーションを取り、子どもが好きなことや得意なこと、興味のあることにチャレンジさせてあげる環境を用意するのがいいでしょう。

成人期(就職して結婚するまで):親密性と孤立

初期成年期は、就職して結婚するまでの時期で、発達課題は「親密性と孤立」です。

異性と互いに親密な関係性を築くことで、親密性を確立し、年齢相応に親密性を持つことで、就職、恋愛、結婚という人生の重要なステップをうまく乗り切ることができるようになります。

★この時期の注意点★

この時期に親密性の獲得に失敗すると、情緒的で長期的な人間関係が維持できず、表面的で形式的な人間関係しか築けずに孤立していきます。

多くの人と関わり価値観を共有し、共感すること、価値観の違いを見つけ認め合い共存することの大切さを学びましょう。

壮年期(子供を出産して育てる時期):世代性と停滞性

壮年期は、結婚して子供を産んで育てていく時期、つまり親として過ごす時期です。そのため発達課題は「世代性と停滞性」です。

世代性とは、貴重で親密な存在や子孫を残し、次の世代を育てていくことに関心を持つということです。この時期は、子供を出産して育てることだけでなく、会社の後輩などを教育・指導したり、地域の伝統を継承したりするなど、自分を犠牲にしても自分以外の何かに関わり、そこから自分一人では得難いものを得られるようになる精神的にこれまでとは異なる成長を感じる時期です。

★この時期の注意点★

この時期に世代性がうまく獲得できないと、ずっと「自分が第一」「自分が一番かわいい」という感覚が抜けず、人間関係は停滞します。特に未婚の場合は、次第に周囲と疎遠になったり、家庭を持つ友人とのズレを感じることも少なくないでしょう。

老年期(子育てを終えて退職する時期):自己統合と絶望

老年期は、子育てが終わり、退職して余生を過ごす時期です。自分の身体の老化と直面し、死と向き合うことになる時期のため、発達課題は「自己統合と絶望」です。

自己統合とは、老年期までの各発達段階で獲得してきたものを振り返ってみて、自分の人生を受け入れて、前向きにそれらを統合することです。統合性を獲得することで気持ちや情緒が安定し、円滑な人間関係を維持したり、趣味や余生を心の底から楽しむことができます。

★この時期の注意点★

この時期はこれまでの発達課題をいかに受け入れ解決してきたかが大きく反映されます。自分の人生を受け入れられないままだと、人生を後悔して新たな自分を探し求め、身体の老化や時間のなさに不安や焦りが募って絶望してしまいます。

成長したい、改善したい気持ちがある場合は、自分と向き合い、人と親密な関係を築いたり、趣味を増やすなどの努力をしましょう。

まとめ

今回はエリクソンの心理社会的発達理論についてご紹介しましたが、いかがでしかた?

エリクソンの理論は、各ステージの課題を達成しようがしまいが、人は心理的発達とともにすべての発達段階を通過していくと考えています。

しかし、発達課題の成功や失敗は、次の段階の達成に大きく影響を与えるため、両親や保育士など、教育する立場にある人は子供たちにたくさんの成功体験を積ませてあげることを意識することが重要でしょう。

この心理社会的発達理論を参考に、今一度、子どもへの接し方を見直してみてはいかがでしょうか?

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