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認知発達心理学の歴史~ブルーナー~

ジェローム・シーモア・ブルーナー
ジェローム・シーモア・ブルーナーは共同注意の発見により、「子供の心の動きに注目すること」、「子供を心のこもった存在として関わろう」という心の理解を指摘し、現代の子育て、保育、教育において見失いかけていることを、一貫して探し続けました。

 

<共同注意とは>

共同注意とはアイコンタクトを応用したコミュニケーション技法です。アイコンタクトは二人の間で主に目を中心として行われるものですが、共同注意とは「人と物をかわるがわる見て、その人と一緒に何かに注意を向けること。

この行動によって、他者の注意を特定の物や出来事に向けるもの」です。通常、生後12ヶ月~24ヶ月頃に自然に身につくと言われています。共同注意はアイコンタクトのみで行われることもありますが、指差しや、「あれ見て」といった言葉でなされることもあります。

ただし、自閉症スペクトラム障害児では共同注意の能力が欠損していることが多いという報告があります。

<共同注意の重要性と意味>

ピアジェの観察、研究では乳児が他者観点を取得するのはずっと先のことと考えられていました。しかし、ブルーナーは0歳代の乳児が母親の視線を追うのを発見したのです。

この「共同注意」という行動は人類が数百万年前から行ってきた行動ですが、その重要性と意味を発見したのはブルーナーだったのです。ブルーナーがいなければ「共同注意」はいまだに発見されていなかったかもしれません。こうしたブルーナーの研究は当時主流であった

“言語を習得してからコミュニケーションへ”といった考え方を“まずは言語的なコミュニケーションがあって、それが基盤となって言語の習得へ”という考え方にひっくり返されました。言語発達や言語指導における「語用論革命」の発端となったといえます。

ジェローム・シーモア・ブルーナーの生い立ち

1915年10月1日、アメリカ合衆国、ニューヨーク市で生まれ、ポーランドからのユダヤ系の移民の子としてアメリカで育ちました。

ハーバード大学のカール・ラシュレーの下で動物心理学を学び、新たな学問分野としての認知心理学を開拓。

1941年にハーバード大学で博士号を取得し、第二次世界大戦中は心理戦争の専門家として陸軍に所属していました。

戦後まもなく、欲求や動機づけが知覚に及ぼすことを示す研究を行い、1952年ハーバード大学教授に就任。1960年同大学に認知研究センターを開設。

人間の知覚が社会的、文化的状況の影響を受けることを示した『思考の研究』を執筆し、1959年には教育方法の改善に関するウッズホール会議の議長となり、その成果を『教育の過程』として出版しました。

1972年イギリスに渡り、8年間オックスフォード大学教授を務め、主に乳幼児発達に関する研究を行い、その後アメリカに戻って1990年頃から文化心理学、ナラティヴ(語り)の思考の概念について研究しました。現代心理学の発展に貢献したばかりでなく、発見学習の提唱者でもあり、教育における理論の実践を行いました。

<発見学習>

ブルーナー

 

 ジェローム・ブルーナーによる教育方法の考え方です。教師が結論を与えるのではなく、子供が自分で発見し、その発見によって進められる学習の仕方をいいます。ある分野での基本的な構造をつかませ、観察、仮説の設定と検証をとおして、学習と研究の態度、推量と予測の力、自ら問題を発見して解決しようとする態度などを育てることを目的とします。

デューイの「問題解決学習」の思考過程の分析から生まれた方法で、子供の興味や関心を重んじ、子供の生活上の諸問題の解決を通して、問題解決能力、思考力、応用力を養おうとする考え方。子供の生活経験を重視する教育理論に基づいた学習法です。

ジェローム・ブルーナーの提唱する学習法

ブルーナーは学習には3つの形があるといっています。

第一は経験による学習(Action-based)

第二は知覚による学習(Image-based)

第三は言葉を通じての学習(Language-based)

どれも実体験によること、表象を通した題材、そしてシンボルによる言語化といったことです。

ブルーナーのナラティブ研究が“子供の心の理解”を可能に

ブルーナーはある時こんな実験をしました。

エミリーという女児が1歳10ヶ月~2歳10ヶ月までの時期にこんな観察をしました。就寝前に両親や自分自身に向けて自発的に話すナラティブ(語り)を分析。ナラティブの内容は、その日自分を困惑させた出来事から作った物語(ナラティブ)でした。

2歳後半頃、エミリーはその日起こった出来事の因果関係について述べるようになりましたが、それに加えてエミリーはその出来事をどう考え、どう感じたかについても話すようになったのです。

この結果から、ブルーナーは“大人とのナラティブ”を通して、子供は他者の心を理解するようになると分析しました。

発達障害児、特に自閉症児は他者が感じていること、考えていることの理解(心の理解)は困難ですが、大人とのナラティブを通して、「心の理解」が可能なようです。このエミリーの観察によってそれが解明されました。

すなわち、自閉症児と生活における行為や出来事を共有し、他者の心の動きを感じ、経験し、表現することによって、自閉症児でも「心の理解」が可能になることを見出したのです。

※ナラティブ…本人が語る本人の物語

(例)病院に診察に来た患者の語る疾患に関する物語

ゲームで体験した物語を本人が自分の体験として語る物語など

※「ストーリー」と「ナラティブ」の違い

ストーリーとはそのまま物語と訳して良い言葉。本や映画のように始まりと終わりがあって完結しているのが「ストーリー」。

「ナラティブ」は本人が体験したことを語る物語。

“子供の心の動き”をさらに見つめて…

 言語習得に大きく関わる「共同注意」の発見、

子供の心の理解への大人の関わり

いずれにも共通するのは子供の「心の動き」に気づくこと、「子供の心を持った存在」として関わろうというところでした。

現代社会の子育て、保育、教育分野で欠落しつつあることを、ブルーナーは一貫して探し続けていたのでした。

ブルーナーが発見してくれた「子供の心の動き」を我々がさらに慎重にしっかりと見つめていくことが、今後の子育てにおける大きな課題だといえるでしょう。

まとめ

 発達心理学の巨星ジェローム・シーモア・ブルーナー業績や足跡を学んでみた感想はいかがでしたか?

子供の初期の言語のほぼすべてが、その言葉を話す大人との日常的かつ強調的なやり取りで習得されていることをブルーナーは「共同注意」の分析により発見したようです。

こうしたことを知れば知るほど、子供への関わり方の重要性を改めて考えさせられます。

“振りによるコミュニケーション”と“言語によるコミュニケーション”が9ヶ月~12ヶ月の間から始まるということ。言葉を覚える大切な時期をよく理解し、子供と一番近い存在の親のみならず、保育にあたる保育士なども言葉の重さを認識しなくてはなりません。

「いや、これは先生がやるから」とばかり言うのではなく、「じゃあ、こうしてくれる?」と子供たちにできることを提案したり、一緒にやろうとする姿勢が大切なのです。

知識と理解を高め、子供との接し方について、もっともっと慎重になりたいものです。そして子供の言葉の成長に欠かせない良質な環境を提供するためにも、大人の言語そのものの正確さも見直さなければならないといえます。

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