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ヨコミネ式教育法は子どもを「天才」にするのか

天才を作り出すと言われた「ヨコミネ式」。その仕組みと実際にテンサイを作り出せるのか、その教育方を整理して考えてみましょう。

スーパー園児が育つ!? ヨコミネ式教育法の理念と実践

■メディアで取り上げられ話題の教育法

2015年から2016年にかけ、TVで「すごい園児達を育てている」と取り上げられ、大きな話題となっている幼児教育法があります。ヨコミネ式教育法です。TVの放送では、園児たちが逆立ちですいすいと歩くなどの運動能力、小学校の教科書を読みこなしそろばんを習得するなどの学習能力を見せたことで、多くの人が驚きました。「スーパー園児」「天才」が育つ、などといわれているのが、このヨコミネ式です。「スパルタ式」などとも例えられたり、厳し過ぎるのでは?という声もあったりするなど、ある意味「賛否両論」という面もあります。ヨコミネ式を導入している保育園、幼稚園にも、さまざまな問い合わせがあるということで、話題にこと欠かない教育法です。具体的には、どのような方針で、どのような実践をしているのでしょうか。

■理念は「すべての子どもが天才である」

ヨコミネ式は「この方法で天才が育つ」といった見方をされますが、実際は「すべての子どもが天才である」「ダメな子なんて一人もいない」という理念にもとづき、子どもの「自立」を促す教育法です。提唱者は複数の保育園等を理事長として運営する横峯吉文さんで、プロゴルファー横峯さくらさんの伯父としても知られています。さくらさんの父で参議院議員をつとめたこともある横峯良郎さんが横峯理事長の実の弟さん、という関係です。そんな横峯理事長が発案し実践してきた教育法は、すべての子どもがもとから持っている才能を引き出す、という方向で子どもを指導します。

■自立に向かって「3つの力」を育てるために

ヨコミネ式では、究極の目的を、子どもの「自立=自ら考え、自ら判断し、自ら行動・実践すること」と定めています。そのために必要なのは「3つの力」と「4つのスイッチ」としています。3つの力とは「学ぶ力」「体の力」「心の力」です。学ぶ力の実践では「読み・書き・そろばん」を「自学自習」で繰り返し、基礎学力を付けます。詰め込みや強制ではなく、子どもが自らの意志で求め、学ぶように促します。実際に園児たちの学習は小学校レベルに達していて掛け算や英会話、音楽では絶対音感など、高い能力を身につけています。

体の力ということについては「6歳までに」大きく発達するとされる運動神経を伸ばす運動が行われます。園児たちは側転や跳び箱、標高1700m級の登山までやってのけます。心の力をつける、というのはくじけない強い心を育てる実践です。大人が甘やかさない、手を貸さないという環境の中、さまざまな経験を積みます。

■「できない子」はいない、子どもを「やる気」にさせるのが重要

ヨコミネ式では、自立を目指し「3つの力」をつけていきます。子どもは「みんな天才」で「できない子」はいない、という考えです。子どもが何かに取り組むときには、意欲が必要です。そのため保育者から、そして子ども同士で、やる気を引き出す「4つのスイッチ」を入れる、としています。その4つとは「子どもは競争したがる」「子どもは真似したがる」「子どもはちょっとだけ難しいことをしたがる」「子どもは認められたがる」です。

人に負けたくないという競争心、興味や観察から真似してやってみたいと思う気持ち、個々に合ったレベルで難し過ぎずレベルアップをはかれることへの挑戦、そして「ほめる」よりも「認める」ことで得る達成感と意欲。もともと「天才」である子どもが「やる気」を出した結果が「スーパー園児」とも呼ばれるような、能力の高さを見せてくれる子ども達の姿、ということです。

否定的な意見も存在、ヨコミネ式の「デメリット」とは?

■ヨコミネ式は「スパルタ式」?

ヨコミネ式は、子どもの持つ力を伸ばす方法、と評価される一方、考え方によっては「厳し過ぎる」ともいわれます。いわゆる「スパルタ式」なのではないか、という声もあります。古代ギリシアの都市スパルタで行われていたとされる、幼少時からの厳しい軍事訓練に例えて、ヨコミネ式も「できない子は『落ちこぼれる』のでは」と不安に思う人もいるようです。ヨコミネ式は、2009年から2010年にもTVで取り上げられ、ブームのようになったことがありました。そのときも賞賛される一方で「園児には厳し過ぎる」「小学校以降で子どもが浮いてしまうのでは」などの声がありました。まさに賛否両論です。

■「園児には早い」「合わない場合もある」という声も

2016年現在でも、ヨコミネ式を厳しいと感じ「園児に教える、させる内容としては早すぎる」という意見もあります。また、子どもの個性によっては得意・不得意があり、ヨコミネ式で「園児全員ができる」とされることが向いていない子はどうするのか、との心配もあるようです。保護者がヨコミネ式を導入した園に子どもを通わせたい、と思うなら、子どもの個人的な資質や環境との相性なども考えて決めたほうがいい、ということは確かです。

 ヨコミネ式やその他幼児教育法の選び方「子どものために熟考を」

保育士、ヨコミネ式

■子どもを信じて自然に能力を発揮させる

改めてヨコミネ式を高く評価する声もあります。厳しいと思われるようなことにも「子ども本人が自ら望んで(やる気を持って)」取り組んでいる姿、そして「変化に対応できる心」を育む環境などが見えるからです。ヨコミネ式では、子ども達が何に対しても「楽しく」「夢中になって」「目を輝かせて」取り組めるような環境を作っている、ということです。強制されて何かをする、ということはなく、自分から「やりたい」と思うような仕組み、つまり「やる気のスイッチを入れること」があります。だから、子ども達は自然に力をつけ、その力を発揮していくことになります。

トラブルも経験したほうがいい、競争も積極的にしたほうがいい、という考え方で、子ども自身に、いろいろなことを「乗り越える」ことも自然に教えていきます。何もかも、もとからある資質を「引き出す」という形をとっています。

■実践内容のインパクトと評価

ヨコミネ式の実践は、ほかの保育園や幼稚園、ほかの幼児教育法とは違ったところが多く、内容をTVのような映像で見るなどした場合、非常にインパクトがあるので、驚きや話題性があります。否定的な見方もありますが、子どもの力を「引き出す」ため働きかけがあることは明らかです。人間の「強さ」「たくましさ」を表に出していく教育法といえます。

インパクトがあることで、ついつい「すごい!」と気持ちを「引っ張られて」しまったり、反対に拒否反応のような心理になってしまったり、ということもあり得ます。ヨコミネ式のように驚きを感じさせる教育方法を評価する場合には、ある意味、冷静さが必要なのかもしれません。

■ヨコミネ式を選ぶなら

保護者が、TVなどのメディアの情報から「ぜひヨコミネ式をわが子にやらせてみたい」と思ったときにも、少しの冷静さを持つべきかもしれません。保護者は「ヨコミネ式の園に行けば子どもがすごい天才になってくれる」などといった勘違いをしてはいけないからです。子どもの特性や将来を考え、ヨコミネ式が合うと判断し、その結果としての実践があるのなら、良い将来に向かっていける可能性は大きいのではないでしょうか。

これは、どのような幼児教育法でも同じことです。保護者が子どもを導く方法として選ぶものですから、慎重さや熟考はあって当然です。保育者も、幼児教育法の実行には勉強や、経験を後に生かすこと等が必要です。子どもという大切な存在のために、さまざまな可能性を想定し考えるのは大人としての「使命」のようなものです。

 

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