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世界でも通用する保育士になるために知っておくべき「アガッツィ法」とは

保育 教育 アガッツイ法
「子供は国境を超える存在である」と定義してイタリアのアガッツィ姉妹。彼女たちが定義した「アガッツィ法」は、今ではイタリアで最も基本的な保育方法として親しまれています。

世界でも通用する保育士になるために知っておくべき「アガッツィ法」とは

急速にグローバル化が進む現代において、約120年も前に「子供は国境を超える存在である」と定義していたのは、イタリアのアガッツィ姉妹でした。そして、このイタリアの姉妹が編み出したアガッツィ法は、現代において最も一般的な幼児教育法としてイタリア全土に浸透しています。

日本ではこの幼児教育法はまだあまりよく知られていませんが、実は現代の日本の保育現場でもアガッツィ法の影響をみることができます。現在、日本では積極的に海外の教育法を取り入れている学校や企業が増えているため、日本の保育の現場で重要な示唆を与えていくと考えられています。保育士のみならず保護者など、保育に関わる方はこの教育法を知っておくべきでしょう。

■アガッツィ法の特徴

アガッツィ法の特徴は大きく二つあります。1つ目は、グローバル化に対応する子供を育てるための母性的な教師の存在に注目し、母性と道徳の関係を重視した教育法であるということです。情緒的且つ母性的な教師が子供に関わり、教師が子供の欲求に積極的に応えることで、子供の道徳心を育てるという考えに基づいている点です。

2つ目は子供たちが兄弟姉妹愛を学ぶために縦割り保育を重視しているという点です。この異年齢児が関わる縦割り保育は「アガッツィ園」と呼ばれることもあります。

■アガッツィ法のメリットとデメリット

アガッツィ法では、教師はいつも子供と一緒にいることを重視しており、教師は次の3点を心掛けることが掲げられています。1つ目は、「教師自身が社会の一員として礼節をわきまえ、子供の手本となるように行動すること」、2つ目は「幼稚園という拡大家族の中で、子供が社会の一員として必要となる義務と権利の概念を学べるよう努めること」、3つ目は「落ち着いた環境を提供すること」である。

常に教師が子供と一緒に過ごし、落ち着いた環境を提供するとなると子供の側にいて、子供がすることを静かに見守ることになる。そのため、アガッツィ法のメリットとしては、子供が大人や教師の存在を気にせずに、自発的且つ積極的に学ぶ姿勢を身に着け、わからないときや困ったときはすぐに隣にいる教師に質問できる環境を提供していることになる。

一方、デメリットとして考えられることは、教師の存在がいつも近くにあることで、甘えてしまったり「何か困ったことがあってもすぐ助けてもらえる」という意識が子供に芽生えてしまうという点です。しかし、アガッツィ法における教師は「母性的感覚」を重視しており、子供に対して「温かな反応をすること」が重視されているため、子供からの質問に何でも答えるのではなく、一緒にいるから一緒に考えて子供が自ら答えを導き出すよう、子供の想像力を伸ばすことにもつながるため、デメリットと言い切る必要はないでしょう。

■異年齢児の関わりを重視するアガッツィ法のクラス構成

アガッツィ法において、年長児はお世話する年少児をパートナーして設定する「担当制」が教示されています。この担当制によって、年長児は「人の役に立ち、お互いの善と成長のために貢献する真の喜びを知り、家族のような愛情の感覚を味わう」ことができるようになると考えられています。

教師は年長児に対して、次の2点を教えます。1つ目は「年少児を大切にし、年少児にも活躍できる場を与えること」、2つ目は「遊びの中では年少児を勝たせてあげることも大切であり、あえて年少児を前面に出してあげること」です。この2点の配慮を年長児が身に着けることによって、家族的な雰囲気の中で子供たちは兄弟姉妹愛、権利、義務を学んでいきます。年長児が年少児の世話をする際に、「園がひとつの大きな家族」であるという認識を育て、年長児は年少児の見本として先生のように努める精神を持たせることに繋がります。

■アガッツィ法における幼児ひとりずつの固有のマーク「コントラッセーニ」

アガッツィ法において、日本の保育現場で見られる影響として、例えば、文字の読めない幼児ひとりひとりに固有のマークを与える習慣、幼児の年齢を縦割りにして行う保育のあり方や母性的な教師像などです。幼児に与える固有のマークはコントラッセーニと呼ばれ、1895年に幼稚園(母親学校)を始めたアガッツィ姉妹が、園児が自分とほかの園児との所有物を見分けやすいように発案したと言われています。最近では個人情報の問題で所有物に名前を書かない園もありますが、日本でも昔は子供たちが自分たちの所有物すべてに名前を書くのは当たり前でした。

アガッツィ法において、このコントラッセーニの機能は、ただ所有物を見分けるための機能にとどまらず、コントラッセーニを通して子どもは、社会性を身につけ、秩序を体得し、最終的には、他者への尊敬や物への慈しみをも学んでいるということもイタリアの研究者たちによって発見されています。

■日本におけるアガッツィ法の現状

日本で唯一のアガッツィ法の研究者として知られているのは、大阪成蹊大学の鈴木昌世教育学部教授です。実際にイタリアのパスクワーリ・アガッツィ幼児教育研究所を訪問もしています。イタリアへの訪問は、現地のアガッツィ研究者との交流やアガッツィ史料の収集を目的としており、今後はさらに交流を盛んに行って教育学部における質の高い保育者養成に活かしていきたいということを発表されています。

今後、日本におけるアガッツィ法の研究者が増え、グローバル化に順応し成長する子供と、それをサポートする教師が日本にも増えていくでしょう。

■アガッツィ法を取り入れてみましょう

現在、アガッツィ法はモンテッソリー教育と比較されながら徐々に社会に広がりつつあります。保育に関わる立場の方には海外の教育法を知ることは知識として非常に学ぶことが多くありますので、ぜひ一度本を読んだりインターネットで検索するなどして、視野を広げてみるのはいかがでしょうか?グローバル化が加速する社会に対応する子どもの可能性を広げ、自身の成長にもつながります。

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