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幼児教育の現場でも応用できるかも。「個別指導計画(IEP)」を知っておこう

IEP 個別指導計画
個別指導計画(IEP)とは、一人ひとりの教育的ニーズに対応した、指導目標や内容、方法などをまとめた計画書を指す言葉です。個別指導計画が(IEP)とはいったいどんなものなのかご紹介します。

個別指導計画(IEP)とは、一人ひとりの教育的ニーズに対応した、指導目標や内容、方法などをまとめた計画書を指す言葉です。特別支援学校において障がいが重複している場合と、自立活動領域で作成が義務付けられているものですが、通常の学級で学ぶ子どもたちの指導にも応用できるツールです。

個別指導計画が(IEP)とはいったいどんなものなのかご紹介します。

個別指導計画(IEP)ってどんなもの?

学習障がい(LD)やADHD(注意欠陥・多動性障がい)、高機能自閉症などの障がいを抱える子どもたちは、一般的に通常の学級でほかの子どもたちと一緒に学ぶことが多いものです。

とはいえ、子どもにかかわる教育者が、障がいを抱える子どもたちに対してどのような配慮が必要か、どういった目標をもって指導に当たるべきかを明確にしておかなければ、子どもにとって不適切な教育になってしまう可能性があります。そこで大切になるのが、個別指導計画(IEP)と呼ばれる、障がいをもった子どもたちに適切な教育を受けてもらうための計画書です。

教育者はこの計画書に基づいて教育を行うため、子どもたち一人ひとりの実態をきちんと把握し、ぶれのない指導を行うことができるようになります。

個別指導計画(IEP)はアメリカが発祥

アメリカでは、障がいを抱えている子ども一人ひとりに対し、IEPと呼ばれる指導計画書を作成し、特別な教育を受けさせることが法律で定められています。IEPとは、Individualized Education Programの略で、文字通り一人ひとりの個人に対応した学習計画を指す言葉です。アメリカの場合、IEPは教育行政と学校、保護者(本人)の合意によってつくられる公的文書として作成されるため、障がいをもつ子どもたちは効果的な教育を受けることが保証されています。

日本では、平成20年3月に告示された幼稚園教育要領、小学校及び中学校学習指導要領及び、平成21年3月に告示された高等学校学習指導要領において、障がいのある子どもの指導について、アメリカのような個別指導計画を作成し、指導に当たることが求められるようになってきました。

個別指導計画はどうやってつくられるの?

日本の場合、個別指導計画をたてるときに明確なルールは定められていませんが、基本的には次のようなフローで作成を行います。

実態把握

個別指導計画を作成するにあたり、まずは対象となる子どもの実態を把握していきます。実態を把握するには、教員が指導上の課題や検査記録などを見るだけではなく、保護者が生活環境や普段のようすなどを伝え、すりあわせていくことが大切になります。

目標の設定

各教科、領域ごとの目標を設定していきます。このとき、年間を通じての指導計画とは別に、二週間から一か月程度の短期でおこなう個別指導計画もあわせて作成していきます。

指導と評価

作成した個別指導計画をもとに、実際の指導を行っていきます。指導をするだけではなく、指導の結果どんな成果が見られたかどうかも記録し、次回の目標設定に組み込んでいきます。

個別指導計画(IEP)をつくる目的は?

 

保育 保育士 指導計画

 

障がいをもつ子ども一人ひとりに対し、個別指導計画や教育支援計画をたてる目的には、次のようなものがあります。

一人ひとりの障がいの状態に応じた、きめの細かい指導ができる

ひとくちに障がいといっても、その程度や障がいの内容には個人差があります。だからこそ、ぴったりと本人にマッチした指導を行うには、一人ひとりの障がいの状態を周囲が把握し、適切に対応していくことが求められます。

指導の目的や内容、対象となる子どものようすについて、関係者が共有できる

個別指導計画をたてる大きな目的のひとつが「情報の共有」です。状況や状態を把握できる個別指導計画をつくっておくことで、進学・進級などを機に教員が変更されたとしても、目標や方針がぶれることなく一貫した指導を行うことができます。

園や学校内の体制づくりに役立ち、職員の理解が進む

障がいを持つ子どもをフォローしていくためには、担当している教員だけではなく、教員全員が現状や目標を共有し、幼稚園や保育園、学校など、組織そのものの体制を整えていくことも必要となります。個別指導計画は、園や学校のフォロー体制づくりにも不可欠なツールです。

指導を定期的に評価することで、より適切な指導を追求できる

個別指導計画では、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルによって、計画と実行、検証などを繰り返しながら、より効果的にアプローチできるよう評価を繰り返していきます。
目標や目指す姿を明確にし、一貫した指導ができる

個別指導計画によって目標や目的を設定しておくことで、子どもたちの目指す姿を明確にしておくことができます。また、保育園や幼稚園から小学校、小学校から中学校…と、所属する組織が変わったときでも、継続して同じ目標や目的を共有していくことで、一貫した指導が行えるようになります。

個別指導計画はどのように作られるの?

2017年4月現在、個別指導計画をたてるのに、明確な規定は定められていません。学校や園、学級によってその実態は異なるため、あくまで一例ではありますが、東京都の「個別指導計画Q&A」を参考にすると、次のようなフローでつくられます。

実態把握

まずは、生活環境や課題、検査の記録などから、対象となる子どもの実態を把握するところからスタートします。保護者からの聞き取りによって集めた情報と、学校での様子を観察した情報をまとめ、プロフィール表や実態把握表といわれる書類を作成します。障がいの状況についての扱いはデリケートで、診断されていないことについては断定して記入してはいけません。障がいの診断は医師が下すものなので「~の疑いがある」と記入するにとどめ、学校では断定した書き方をしないよう配慮が必要です。

目標の設定

実態を把握することができたら、続いて目標を設定していきます。教科単位や行動単位など、個別の課題に対して一つひとつていねいに目標をさだめ、どのように指導していくか考えるのがポイントです。また、保護者や本人がどのような成長を願い、期待しているかもヒアリングし、合わせて考えていきます。

個別指導計画を作成したら、Plan-Do-Check-Actionのサイクルで効果を検証しながら、実行していきます。計画をたてる目的は、あくまでも子どもの実態に応じた支援をすること。作成することが目的になってしまわないよう、活用していくことが何よりも大切になります。

ネガティブな表現は避け、子どものよいところを伸ばしてあげられるよう、前向きな内容で作成することもポイントです。

個別指導計画は通常学級に通う子どもたちにも活用できるツール

障がいを持つ子どもたち一人ひとりに行き届いた教育を行うことを目的につくられた個別指導計画ですが、「子どもたち一人ひとりに対して個別に目標を設定する」という特性は、障がいのない子どもたちの教育にも活用できるツールといえるのではないでしょうか。子どもたちは十人十色、人には少なからず得手不得手があるものです。子どもたちが生活や学習の場面で行き詰ってしまい、教育者としてどのようにフォローしていくべきか悩んだときは、ぜひこのようなツールがあることを思い出してみるといいでしょう。

どのような課題があるのか、それを解決していくためには、どんな目標を設定していくべきか。個別指導計画をたてるときのように、本人と家庭、学校が連携して、子どもたちのために考えていくことが解決に向かうきっかけになるかもしれません。

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