転職活動には苦労やストレスがつきものです。転職をするのなら、確実に成功させたいと思われるでしょう。では、保育士が転職で失敗しないためには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。待機児童問題がよくニュースなどで取り上げられるようになった昨今、保育士が働く環境の改善を希望する声も目立つようになっています。
この記事では、保育士が転職するときに働きやすい職場を見つけられるように、求人の探し方やそれぞれの求人媒体の特徴、保育士の求人が増えるタイミングなどを説明します。
転職を成功に導くための保育士求人の探し方とは?
まずはどんな職場に転職したいかをしっかり検討する
保育士が転職する理由として多いのは、「給与」「勤務時間」「人間関係」に不満や悩みを持つためです。
給与面では、基本給が低い、昇給しない、残業代が適切に支払われない、などがよくある悩みです。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2017年)を見てみると、保育士の平均年収は平均342万円となっています。国家資格を必要とする専門職であることを考慮すると、給料は安いといえるかもしれません。年齢やキャリアアップにともなう昇給率が低いことも報告されています。
残業が多く拘束時間が長い、有休や代休が取れず年間休日が少ないといった勤務時間に関する悩みもよく聞かれます。保育士は早朝から夜まで働くケースも多く、サービス残業も珍しくありません。事務作業や翌日の準備など、子どもたちが帰ってからしかできない仕事も多くあるからです。
また、同僚や上司、保護者などとの人間関係の悩みもよく挙げられます。女性が多い職場で同僚とうまくやっていくことや、保護者と円滑にコミュニケーションを取ることに難しさを感じる保育士は多いでしょう。
大切なのは、自分の希望する条件をすべて満たす求人は存在しないものと考えて、給与・休日・勤務時間・福利厚生など、働く上で特に重視したい条件を決定することです。希望する条件を決めたら、それに優先順位をつけて、自分の要望に合った求人を絞り込んで探しましょう。
求人票以外を見るのも大事
求人票から読み取れるのは、あくまでも給与・年間休日・福利厚生といった募集要項や、住所・園児数・受入年齢など園のデータのみです。
こうした情報だけでは、人間関係や園の雰囲気といった、働く上で実際に重要な要素は分かりません。残業量や有給休暇の取得率、園の特色や行事などといった転職の際により重視したいポイントは見えてこないのです。そうした大切な情報は求人情報以外から入手する必要があるでしょう。
求人票以外から情報を読み取るには?
求人票以外から保育園の情報を集めるには、いくつかの方法があります。
①保育園のホームページをくまなく閲覧する
多くの場合、各保育園のホームページには、保育理念や保育方針、保育の特徴といった情報が詳しく記載されています。それをチェックしてみれば、自分に合った園かどうかをしっかり判断できるでしょう。
また、ホームページ上に保護者向けの情報などがこまめに更新されていれば、細かいところまで気を遣える余裕がある保育園だと推察できます。採用に関する特設ページが設置されている場合には、雇用条件を詳しく知ることも可能です。
②見学申込をして、自分の目で実際に見極める
気になる保育園を見つけたなら、見学できないかどうか問い合わせてみることができます。もし断られたとしても、見学を受け入れる余裕がある園かどうかの判断材料となります。
保育園見学の流れは、以下の通りです。
①電話・メール・サイト上のフォームなどを経由して見学する園にアポイントを取る
②事前準備をする
③見学に赴き園内の雰囲気や環境を観察する
④見学後はお礼状の送付をする |
見学できた場合には、自分の目で園の雰囲気を観察できるので、働きやすい環境かどうかしっかり見極めましょう。

どのルートで求人を探すべき?保育士の求人媒体の特徴
保育園の求人を探すルートもいくつかあります。それぞれの求人媒体の特徴を見てみましょう。
ハローワーク
ハローワークは公共職業安定所とも呼ばれていて、各地域に設置されています。求人紹介や相談、面接対策や紹介状発行などを行う公的なサービスです。自己分析や職業訓練などの就職に役立つサポートも提供しています。国が主導して運営しているサービスのため、安定的なサポートを受けられることも特徴です。
ハローワークは地元の求人の紹介をしていることが多く、無料で利用できます。すぐに人手が欲しい急ぎの求人が掲載されていることも多いので、早く働きたいときにも活用できるでしょう。
求人サイト
オンライン上で求人情報や転職活動のノウハウを提供しているのが求人サイトです。求人情報は広告として掲載・出稿されていて、サイトは広告費の徴収によって運営されています。求人サイト上に掲載されている求人の数はとても多く、希望する勤務地や給与などの条件から絞り込んで、自分に合った求人を手軽に見つけられるようになっています。
保育士が注目したいのは、保育業界に特化した情報を扱うサイトが多数存在していることです。そうした求人サイトは有料掲載のため、園側の採用モチベーションが高いという特徴があります。急な退職があったためすぐに職員を補充しなければならないなど、積極的に保育士を採用したいと考えている職場を見つけることができるでしょう。
転職フェア・合同説明会
転職フェアや合同説明会とは、多数の企業が一会場に集合して、法人ごとのブースを自由に訪問して説明会や相談会を受けられるイベントです。気軽に情報収集を行うことができ、質問もしやすい雰囲気です。複数の園を比較しながら、自分に合いそうな転職先を探すことができます。
転職エージェント
転職エージェントとは、専属の担当者が付いて、求人の紹介や面接のアドバイス、日程調整や面接前後のフォロー、条件交渉などを手厚くサポートしてくれる民間のサービスです。企業から費用を徴収しているため、無料で利用できるのが特徴です。非公開求人が多いので、ほかの求人情報では見つけられなかった求人も見つけられるかもしれません。
自己応募
保育園、法人のホームページ上や電話などで、直接自分で連絡を取って応募してみるという方法もあります。ほかの求人ルートよりもハードルが高いように思えるかもしれませんが、しっかりした園であれば丁寧に対応してくれたり資料を送付してくれたりします。働きたい園がすでに決まっている場合や、自分から積極的に動きたい人におすすめです。
保育園の求人がもっとも増えるタイミングはいつ?
保育園が求人票を出すのは、「秋頃」と「年度末」がピークといわれています。
保育園で欠員が出る際に、都度求人募集が出るのが一般的ですが、秋頃と年度末は次年度の人員体制を決定する時期であるため、普段よりも多くの求人募集が出る傾向にあります。
ここでいう「秋頃」とは、10月から11月にかけての時期です。この時期になると、来年度の人員配置基準をクリアさせるために、多くの保育園が保育士の採用活動を活発化させます。
第二のピークである「年度末」とは、1月末から3月初頭にかけてのシーズンです。この頃は、秋頃に予定していた人員にまだ空きがある、想定外の欠員が急に出てしまった、人事異動があるなどの理由で、保育園側の採用意欲が非常に高い時期でもあります。
求人募集が多く出される時期は、職場の選択肢が多いので転職をするには最適の時期です。とはいえ、求人数が多いからといって働きやすい環境の職場が多いとは限りません。求人が増えるタイミングでの転職だとしても、焦らずにじっくりと自分に合った求人を見分けることが大切です。園に関する情報などを集めてしっかりと検討するなら、良い求人を探し出すことができるでしょう。
おわりに
保育士の転職では、給料や待遇、職場の雰囲気、園の方針など考慮したい要素が多くあります。まずは希望する条件をピックアップし、その中でも自分が特に重視したいものは何かを考えて優先順位をつけることが大切です。
その上で、ハローワークや求人サイトなどを活用して求人情報をチェックすれば、自分に合った職場を見つけやすくなります。秋頃と年度末の求人の多い時期であっても、焦らずにじっくり検討することが保育士の転職を成功させる秘訣と覚えておきましょう。