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ベビーホテルってどんなところ?

ベビーホテル
最近、話題になっているベビーホテル。実は歴史が古いのですがどういうものか知っている人は少ないのではないでしょうか。

ベビーホテルは、認可外保育所のうち、一定の条件を満たした施設を指す言葉です。

1990年代から急増したベビーホテルは、平成27年3月末時点で全国に1749か所。

近年では、施設数は再び減少の傾向にあります。
ベビーホテルとはいったいどんなところなのでしょうか。厚生労働省が発表しているデータをもとに解説します。

ベビーホテルは宿泊施設ではない?

ベビーホテルは、児童福祉法に基づく都道府県知事などの認可を受けていない「認可外保育施設」のうち、次の三つの条件のいずれかを満たす施設のこと。
①午後8時以降の保育

②宿泊を伴う保育

③一時預かりの子どもが利用児童の半数以上を占めている保育施設
ベビーホテルといっても、実際には宿泊するための施設ではなく、上記の条件に当てはまる施設を指す言葉です。

必ずしも深夜の時間帯の保育や宿泊機能を備えているわけではありませんから、注意が必要です。
とはいえ一般的な保育園の場合、延長を使ったとしても保育時間は午後8時までに終わってしまうことがほとんど。
深夜に開園しているベビーホテルは、深夜に働く保護者を持つ子どもたちのためにひらかれた、大切な居場所です。

ベビーホテルの保育時間は?

ベビーホテルは、ホテルとは名ばかりで、必ずしも宿泊機能を備えているわけではありません。
厚生労働省の調査によると、ベビーホテルのうち24時間の保育を行っている施設は全体の22パーセント。
午前2時から7時まで開園し、宿泊の機能を備えているホテルが7パーセント。
午後10時から翌日午前2時までの深夜帯の保育を行っている施設が6パーセント。

午後8時から午後10時までの夜間保育を行っている園が29パーセント。

残りの3割強は夜間や深夜、宿泊での預かりを行わず、一時預かりが半数以上を占める認可外の保育施設に過ぎません。
「ベビーホテル」というくくりになっているからといって、必ずしも深夜に預けられる施設とは限らないのです。
このように、保育時間は施設によって異なりますので、事前にかならず確認しておく必要があります。

どんな子どもがベビーホテルを利用しているの?

引き続き厚生労働省のデータによると、ベビーホテルに入所している子どもは、全国におよそ3万2000人(平成27年3月現在)。

年齢別にみると0歳が全体の11パーセントを占めているほか、1歳から5歳まではいずれも20パーセント前後と、年齢別のひらきはさほどないようです。
また、施設によっては、両親が夜間働いている小学校入学後の学童を受け入れていることもあります。
主に昼間に利用しつつ、必要に応じて深夜の利用をする子が8割以上を占めますが、中には夜間のみ利用する子や、24時間のほとんどを保育施設で過ごす子もいます。

ベビーホテルの問題点

 

ベビーホテル

 

女性の社会進出が大々的に打ち出された1970年代から急速に増え始めたベビーホテル。
当時は事件も多く、1981年に児童福祉法の一部が改正されるまでは社会問題に発展することが少なくありませんでした。

近年では、児童を保育する環境がきちんと整っているかチェックするため、原則として年に一度の立ち入り検査を行うなど、国によってきちんと指導が行われています。
とはいえ、立ち入り検査の結果、ベビーホテルの約半数が指導監督基準に達していないという厳しい現実があります。

違反内容は「乳幼児や職員の健康診断がされていない」「災害対策の避難訓練が行われていない」などが多くを占めていたものの、一部には「保育に従事する者の数が足りていない」という環境のベビーホテルも少なからずあるのが現状です。

実際に、2015年には、神奈川県平塚市の24時間営業のベビーホテルで、生後4ヵ月の男児が心肺停止状態で見つかるという痛ましい事件が起こりました。

事件当時、保育士は1人で5人の子どもたちの保育を行っており、基準に違反した状態で運営されていたとのこと。
もちろん、健全に運営されているベビーホテルも多く存在しますが、環境が整っているとはいいがたい施設も存在しているのが実情といえるでしょう。

ベビーホテル運営は経営者次第?

認可外保育士施設のカテゴリに分類されるベビーホテル。
ベビーホテルがどのように運営されるかは経営者次第といえる側面があります。

経営者に関しては保育士資格が必要ないため、保育に関する知識や経験がない人が指揮を執ることも少なくありません。
国から保育施設の設置基準や保育職員の配置については指導があるものの、先述のとおりきちんと守れている施設は半数程度しかないのです。
特に、保育士不足は深刻な課題。認可施設と違い、自治体からの補助金を受け取れないベビーホテルは、保育スタッフの数を抑えることで利益を確保している施設が少なからずあります。
小学生以上の学童も乳幼児と同じ部屋で保育しているのもかかわらず、保育スタッフの数が足りず、目が行き届かない。

スタッフが忙しく、子どもたちが放置されている。

実際に、眠っているあいだに保育士が付き添わず、乳幼児同士が重なって眠ってしまい、窒息死するという事件も起こっています。

ベビーホテルの労働環境は過酷?

では、保育の現場で働く保育士にとっては、ベビーホテルはどんな場所なのでしょうか。

ベビーホテルの求人情報を見てみると、深夜の時間帯などでは特に、一般的な保育施設よりも賃金が高めに設定されていることがほとんどです。

とはいえ、一般的な保育施設よりも過酷と言われるベビーホテルの労働環境。

高めに設定された賃金でも人が定着しないという問題を抱える施設は少なくありません。
人手不足から、保育スタッフは無資格でもOKとする施設も多く、有資格者に重く責任がのしかかってくることもあるでしょう。
また施設の性質上、一時預かりが中心となり、預かり人数や保育時間にばらつきがあるため、保育者のペースがつかみにくいという現実もあります。

ベビーホテルは認可外の保育施設ですので、どのような運営が行われるのかは経営者の裁量次第。

「深夜の時間帯に保護者と離れて過ごす子どもたちの居場所になりたい」という志を持つ人であれば、向き合える職場かもしれませんが、決して「睡眠時間に入ってしまえば楽なのでは」とは言えない環境であることを心にとめておきたいものです。

それでもベビーホテルのニーズが絶えないのは……

このように、必ずしも保育環境が整っているとはいいがたいベビーホテル。
もちろん、きちんと運営されている施設も多く存在していますが、利用者にとっても保育スタッフにとっても、どんな施設にあたるかは蓋を開けてみるまではなかなか判断がつかないものです。

安全面や保育環境での不安が指摘されながらも、夜間の保育のニーズが絶えない背景には、ベビーホテルを頼らざるを得ない家庭の存在があります。

母子家庭(父子家庭)のいわゆるひとり親世帯で、昼間の仕事では収入が足りず、夜間も働き続けなくてはならない
昼間の仕事で正規職員を目指すこともかなわず、比較的賃金の高い夜間に働くしかない。
頼ることのできる親族もおらず、孤立している……。
離婚後、養育費をきちんと受け取れている養育者はたったの2割弱と少なく、ひとりでは子どもとの生活を維持していくのが難しいという悩みを抱えるひとり親は多いもの。
ベビーホテルはそんな事情を抱えながら暮らす家庭の駆け込み寺のような存在なのです。

 

近年では、ベビーホテルの数は減少傾向にありますが、さまざまな保育ニーズにこたえるためには必要不可欠。

健全な運営を行うベビーホテルが増えるよう願うばかりです。

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