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「幼保一元化」ってどういうものなの?

幼保一元化
最近、認定こども園などや特例制度で有名になった幼保一元化。実際にはどのようなものなのでしょうか。

幼保一元化とは?

近年、保育所に入ることのできない待機児童問題を解決する手段の一つとして、「幼保一元化」という言葉をよく耳にすることがあるのではないでしょうか。しかし、言葉は聞くものの、実際にどのような変化が起こっているのかなかなか実感のない人が多いのではないでしょうか。

幼保一元化というコンセプト自体は古くは1960年代に、子育て世代の減少により幼稚園や保育園の経営が成り立たなくなった過疎地域における取り組みでした。しかし、その後女性の社会進出が進むにつれて保育所不足が深刻となったため、それを解消する一つの手段として幼保一元化が再び提唱されたわけです。

ここではそもそも幼稚園と保育園の違い、さらにはなぜ幼保一元化がなかなか進まないかといった問題点を紹介していきます。

幼稚園と保育園

おそらく、保育士だったり、保育士を目指している人なら保育園と幼稚園の違いは知っているかと思います。幼稚園は文部科学省が管轄する教育機関、保育園は厚生労働省が管轄する児童福祉施設です。

他にも細かい違いはいろいろとあります。下の表をご覧ください。

 

幼稚園 保育所
管轄省庁 文部科学省 厚生労働省
根拠法令 学校教育法 児童福祉法
目的 幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。(学校教育法第22条) 保育所は、保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うことを目的とする施設(利用定員が二十人以上であるものに限り、幼保連携型認定こども園を除く。)とする。(児童福祉法39条)
先生の配置基準 1クラス35人以下 保育士1人につき

0歳児クラス3人

1・2歳児クラス6人

3歳児クラス20人

4・5歳児クラス30人

保育時間、保育日数 標準4時間以上 保育園では保育時間が原則8時間以上
1年間の保育日数 39週を下回らない

(特別な事情を除く)

特別な規定なし

 このようにクラスの人数から、保育日数まで幼稚園と保育園には大きな違いがあるのです。

なぜ幼保一元化

それでは、なぜ幼保一元化が現在問題になっている待機児童問題を解決することになるのでしょうか。

共働き世帯の増加によって、保育所が定員オーバーになっているところが多い一方で、幼稚園は定員割れが続いています。実際に保育所の数が年々増加傾向にある一方で幼稚園の数は年々目減りしています。幼保一元化が実現すれば、この保育所に入ることのできない子どもたちを幼稚園の定員割れのキャパを利用して、預かることが可能になるというわけです。

現実問題として、幼稚園と保育所の境界線はあいまいになりつつあります。現在多くの幼稚園で、保育所と競争していくために預かり保育を行っていますし、多くの保育園で小学校進学時に幼稚園出身の子どもたちとの学力差を解消するために読み書きを教えているところも多くあります。(本来読み書きを教えてることは教育にあたるので保育所のやることではありません

幼保一元化はなぜ進まない?

幼保一元かはかれこれ、20年近くにわたって議論され続けている問題です。しかし、なかなか実現には進めません。なぜでしょうか。答えは単純明快。お役所仕事の「縦割り行政」です。文部科学省、厚生労働省ともにお互いの「縄張り」を手放したくはないのです。

さらに今後一元化されるとなったときにどちらの基準に合わせるかが問題となってきます。たとえば、保育所には給食室の設置が義務付けられていますが幼稚園にはそういった義務はありません。もし、すべての幼稚園に給食室を付けるとなると、幼稚園側の負担は膨大なものとなります。そこに配慮して、基準のい低いほうにすべてそろえていくと結果的に子どもたちの保育・教育の質を落としていしまうことになりかねません。

最後に

子どもたちを預かるというのは非常に責任の大きい仕事です。であるがために、多くの法令やお役所が関係してきます。そのため、何かを変えたいとき非常に複雑なプロセスになってしまうのです。

しかし幼保一元化の動きは全く進んでいないわけではありません。「認定こども園」という幼稚園と保育所の両方の力を併せ持つ新しい形の子どもを預かる施設ができて10年が経ちました。

今後はこのような施設が増えていくことが予想されますが、完全な幼保一元化が実現されるのはかなりの時間がかかりそうです。

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