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食育とアレルギーについての知識 ~食物アレルギーの代表例と対処法~

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最近、注意が必要なアレルギーですがこれは保育士としても保護者としても気になるところですよね。では、実際にはどのように気をつければいいのかをしっかり確認してみましょう。

■食べることは生きること、それを「知る」

近年、食育の考え方は、かなり一般的にも浸透しました。食育とは、食育基本法に定められている通り「『食』に関する知識と『食』を選択する力を習得」することで「健全な食生活を実践することができる人間を育てる」目的があります。

食べることは生きるために必要なことです。そして、必要というだけではなく、生き方に食べ方が密接にかかわっています。食の知識を得ること、それは、人の生き方について学ぶことです。食を知る、食を選ぶということの中で、危機管理や人とのかかわりという意味で非常に重要な視点があります。それは「食物アレルギー」に関することです。

食べるということが命の危険にまでつながる、その知識があるとないとでは対応に大きな差が出るなど、食物アレルギーについて知ることは、まさに「生きるための知識」として人生に欠かせないものを得ることといえます。食育と、そして人が生きることと切っても切れない食物アレルギーについてのお話をお伝えします。

■食物アレルギーと子どもの成長

子どもを持つ保護者であれば、子どもが食物をはじめとしたアレルギーを持つかどうかは重大な関心事です。食物アレルギーのあるお子さんを持っていたら、日々、気を付けることがありますね。また、保育施設などで保育士、保育スタッフとして食物アレルギー対策を行っている人にとっても、この課題は重要なものです。

日常の中で決して見落としやミスがあってはいけないことのひとつが、食物アレルギー対応です。子どもが食物アレルギーを持っていることは、今や普通のこと、当たり前のことといっていい状況であり、その対策がしっかりと家庭や保育施設で取られていることも普通になっています。アレルギーは人の体の免疫反応です。体の中で体にとって「異物」と判断されたもの、ほとんどは「タンパク質」ですが、それを排出するために起こる反応の現象です。

子どもが生まれて以降、さまざまな成長にともなって違った形で次々に現れることがあり、これを「アレルギーマーチ」と呼びます。食物アレルギーは、アレルギーマーチのうち、最初から現れるものです。子どもを育てるとき、食物アレルギーについて知っておくことは保護者や保育者にも欠かせないことです。

 ■食物アレルギーの症状と仕組み

食物アレルギーの症状は、原因もさまざまですが現れ方もさまざまです。食べたものに含まれるアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が、体の過剰な免疫の反応を誘導することで症状が起きます。じんましんや湿疹などの皮膚症状、下痢・嘔吐・腹痛などの消化器症状、咳やゼーゼーと苦しそうな呼吸などの呼吸器症状が現れることが多く、子どもに症状が出ないように、アレルゲンを摂取しないようにという注意が必要です。

アレルギーの症状には「アナフィラキシー」という呼吸困難や血圧の低下などの全身的な反応に至り、ショック状態(アナフィラキシーショック)から死に至る場合もあります。子どもの乳児期から現れる代表的な症状(アレルギーマーチで最初に認められるもの)としては、卵や牛乳を摂取したときの皮膚症状(アトピー性皮膚炎など)や下痢などの消化器症状があります。これらに気付いた保護者らにより医療機関を受診する場合が多くあります。乳児が母乳しか摂ったことがなくても卵や牛乳に対する反応はあります。お母さんのお腹の中にいたときに、すでに卵や牛乳に対してのアレルギー反応があり、それが生まれてから症状となる、というものです。乳幼児期にはアレルギー症状が出ることが多いのですが、年齢とともによくなっていく場合があります。成長にともなってアレルゲンを消化吸収する機能が発達することなどによります。もちろん、大人になっても続く症状もあります。

■食物アレルギーの「三大アレルゲン」

 

食育

 

日本国内で、子どものアレルギーの原因となる食物は第一位が卵、二位が牛乳、そして三位が小麦です。「三大アレルゲン」と呼ばれます。世界的にも食物アレルギーの原因食物の上位は卵と牛乳です。アメリカ合衆国ではピーナッツアレルギーが多く、そばアレルギーは日本などの国に多い、という統計があります。

食物アレルギーの原因に食文化や食習慣が関係しているのではないか、といわれています。日本では上位3つやそばのほかに甲殻類や果物、魚類、ナッツ類、大豆などが主なアレルゲンとなる食物として挙げられます。食物アレルギーの多くは、その原因物質を含む食品を食べることによって症状を起こしますが、特殊な形もあります。

そのひとつは「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」といって、特定の食べ物を食べた後に激しい運動をすると症状が現れ、重症に陥る場合が多いというものです。また「口腔アレルギー症候群」とよばれるものも増えています。原因となる果物や野菜を食べると口の中に腫れが見られたり口の周りに皮膚症状が出たりします。花粉のアレルギーと食物アレルギーの関連によって起こるといわれています。

■食物アレルギーへの対処法と保護者・保育者の連携

子どもの食物アレルギーが疑われる状況になったら、まずは医療機関への受診です。まずはアレルギーなのかどうかということを判断すること、そしてアレルゲンとなっている食物をしっかりと特定することが重要です。保護者による自己診断は禁物です。思い込みや間違い、さまざまな情報を得ての混乱などもあるからです。医療機関ではしっかりと問診をして、必要に応じて検査を行い、アレルギーの診断をします。

問診では食事の内容と食べたもの、その反応について詳しく話すこと、そして「生活歴=子どもの生活環境(ダニやハウスダストが関係しているかもしれないので)、動植物との接触、化学物質などとの接触」や「家族歴=家族のアレルギーの有無や病歴」などもしっかりと伝えることが大切です。そして血液検査や皮膚テスト、疑われる食物を取らない期間を設ける「食物除去試験」や、食べてみて症状が出るか試す「食物負荷試験」などでアレルゲンを特定します。専門の医師のもとで安全に検査を行いますので、指示にはきちんと従うことが大事です。食物アレルギーが判明したら、保護者、関係する保育者はしっかりと情報を共有してアレルゲンとなる食物を避け、万が一、症状が出た場合にはどのように対応するのかを詳細に決めておくという対応が絶対に必要です。

■食物アレルギーについて子どもが知っておくこと

食物アレルギーへの対処は、そのアレルゲンを避ける「食物除去」です。その食物が使われていると容易にわかる料理などを避けるのはもちろんのこと、さまざまな加工食品の表示を確認し「隠し味」のような形で原因となる食物が使われたものも避けるよう注意します。食事の際だけでなく、生活の中に危険が潜んでいることもあります。子どもが工作などの際に「卵パック」「牛乳パック」「小麦粘土」などを使い発症につながってしまうこともあり得ます。すでに挙げた「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」の危険などもあります。

保護者や保育者とともに、子ども自身が自分の食物アレルギーについて知り、対処ができる年齢になったら、しっかりと対策法を生活に組み込んでおく必要があります。これを食べたり触ったりすると危ないからダメ、ということや、人に勧められることがあっても断ることなども子ども自身が知っておく必要があります。そして万が一のときにどう行動すればいいかは、繰り返し伝えておくべきです。また、アレルギーのない子どもにも、食べること、生きることを知るために食物アレルギーの知識が必要です。食べたり触ったりして危ないこともあると知ることや、ほかの子どもが持つ食物アレルギーへの理解を進めることが、健全な食生活を実践する人として必要なのです。食物アレルギーの知識、対処を、子どもと周囲の人だけでなく、全ての人がしっかりと持ち、理解していることこそ、社会が食と生きることについて成熟していることでもあると思います。

 

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