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児童福祉法って何が記載されているの?

児童福祉法
児童福祉法っていったいどんなものか理解していますか。今更ですが、じつは知らない人も多いのではないでしょうか。

児童福祉法

 

保育に関わる仕事をしている以上、必ず知っておかなければいけない法律があります。それが「児童福祉法」です。そもそも、保育士資格とは何かというものはこの児童福祉法に記されています。

児童福祉法は、昭和22年12月12日に制定され、これまでに何度か改正されてきた法律です。8章73条の条文から成り、社会福祉六法と呼ばれる福祉に関する法律の1つとして知られています。

今回は、そんな児童福祉法について紹介していきたいと思います。

児童福祉法とは?

児童福祉法の目的

児童福祉法に限らず、すべての法律には目的があり、ある法律を理解するためにはその目的を理解することが非常に重要となってきます。

児童福祉法の冒頭には、総則といってこの法律が一体何のための法律であるのかという記述があります。

以下がその抜粋です。

第一条  全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。

第二条  全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。

○2  児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。

○3  国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。

第三条  前二条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたつて、常に尊重されなければならない。」

つまり、児童福祉法がは、保護者はもちろんのこと、国や地方自治体も一緒になって子どもたちの健全な成長を手助けしなければいけない、そして、そのための決まり事を定めた法律だということがこの総則を読むことでなんとなくわかるかと思います。

児童福祉法が定めるもの(保育士資格)

保育士は、この児童福祉法によって「名称独占資格」に指定されています。名称独占資格とは、その資格を持っていない人が勝手にその名を名乗ってはいけないという資格のことを言います。つまり、保育士という呼び方は保育士資格を持つ人が独占できるという意味です。

第十八条の二十三  保育士でない者は、保育士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない」

名称独占資格の他には「業務独占資格」というものがありこれはその資格を持った人しか当該の業務を行うことができないという意味になります。例をあげると、薬剤師や医師、弁護士といった資格です。

保育士業務は、保育士資格を持っていなくても行うことはできますよね。ただ、資格を持っていない人は自分のことを「保育士」と呼ぶことはできないというだけです。

児童福祉法が定めるもの(その他)

ここまで多くの時間を保育士資格の説明に費やしましたが、児童福祉法の中で保育士資格に関する記述はわずかなものです。

児童福祉法第2章以降は障害を持つ児童のための施設に関する規則、彼らに対する公的な給付金、保育所などの児童福祉施設の設置認可の規則など事細かに記されています。ほかにも、児童虐待防止のために、児童虐待の被害者と思われる児童を発見したら児童相談所などに通告しなければいけないと定めているのも児童福祉法です。

ここまであげた通り、児童福祉法の守備範囲は非常に広く、多くの場合、下にまた別のより専門的な法律、条令、省令(主に厚生労働省令)などが用意されていることがあります(児童虐待の防止等に関する法律・障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等)。

児童福祉法は戦後すぐの昭和22年に新しい国の子どもたちを育てる基本方針としてつくられた法律です。あくまでも国の基本方針であり、時代の変化とともに生じた新たな問題に対処するためにそれを補足する別の法律も存在し、その法律とセットで考えることを忘れないでください。

児童福祉法の改正

児童福祉法は時代にあわせてこれまでにも何度か改正されてきましたが、一番最近のものをあげるとなる平成28年5月27日に成立した「児童福祉法等の一部を改正する法律」となります。

では、この改正によって一体何が変わったのでしょうか?

児童福祉法改正のポイント

今回の改正の大きなポイントとしてあげられるのが、「児童虐待の発生予防」です。これまでの児童福祉法では虐待が発生したあとの対処について規定はありましたが、そもそもその発生を防ぐためにはどうすればいいのかということに関する記述がほとんどありませんでした。

よって、この改正法では児童虐待を防ぐために、妊娠期から子育て期まで一貫して支援を行う「母子健康包括支援センター」の設置に努めることを市町村に要求しています。

また、学校、医療機関、市町村が連携して支援を必要とする妊婦の情報共有を行うことも改正法の特徴の一つです。

そして、万が一児童虐待が起こってしまった場合にもより迅速な対応ができるように、市町村の調整機関に専門職を配置するものとしました。都道府県の児童相談所には児童心理司、医師又は保健師の他にも弁護士を配置することで、より児童虐待問題への幅広い対処を可能にしています。

さらに、児童虐待の被害を受けた児童の自立支援についても、この改正案では力を入れています。

現在日本では、4万人の子どもが産みの親と暮らせておらず、そしてその85%が施設による社会的養護のもとで暮らしています。実はこれは、先進国の中で極めて高い数字なのです。それを是正するために、改正法では子どもの家庭養護原則をかかげ、このような子どもたちをできるだけ里親のもと、家庭のなかで生活できるようにする支援策を掲げています。

児童相談所が里親の開拓から児童の自立支援まで、里親支援業務を一貫して行うことを位置づけより、児童相談所が最初から最後まで一貫して児童の支援を行えるようになりました。

児童福祉法の今後

さてこのような改正を経た児童福祉法ですが、課題が全くないわけではありません。そのような課題の1つとしてあげられるのが、「懲戒権」の問題です。

よく虐待のニュースなどで聞かれる、暴力の言い訳として「しつけ」というものがあります。この「しつけ」こそが「懲戒権」なのです。

もちろん、親は子どもを教育する権利を持っていますし、もし悪いことをしたら罰を与えることもできます。しかし、それが時に行き過ぎてしまい体罰ひいては虐待となるケースが後を絶ちません。

しかし、今回の改正案では体罰を明確に禁止する懲戒権既定の改正は行われませんでした。そのため、しつけが子どもに対する暴力を正当化する言い訳に使われる現状はこれからも変わらないでしょう。

もう1つの課題として里親制度があります。日本で産みの親と暮らせていない子どものうち85%が施設暮らしです。このような現状の根本的な原因に里親制度の認識不足があるのではないでしょうか。

産みの親と暮らせない4万人の子どもの数に対して、里親家庭の登録数は1万ほど。養子縁組の数となるとさらに少なく、2015年のデータではわずか544人にとどまっているのが現状です。

こうしてみてみると、懲戒権の問題も里親家庭の問題も日本の伝統的な家庭観、子育て観が障害になっているという面も否定できません。このような問題に対しては法律的な面だけではなく、社会の面からでも変わる必要があるのではないでしょうか。

最後に

児童福祉法は実に多岐にわたる法律でここではおよそすべてを説明することはできません。しかし、少なくともその目的と歴史、そして将来に向けた課題を理解していただけのであれば幸いです。

興味のある方はぜひもっと調べてみてください。

全文はこちら

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO164.html#1000000000002000000007000000000000000000000000000000000000000000000000000000000

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