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歌をつかった幼児教育法「コダーイシステム」ってどんなもの?

保育 コダーイシステム
音楽教育「コダーイシステム」。音楽は第二の母国語ですが、実際にはどのような考え方があるでしょうか。

コダーイシステム

「コダーイシステム」という言葉を聞いたことがありますか。幼児教育を専門に学んだことがある人を除けば、その名前に聞き覚えがあるという人はそう多くないかもしれません。コダーイシステム(コダーイメソッド)とは、ハンガリーの作曲家であるコダーイ・ゾルターンによって提唱された音楽教育法、幼児教育法を指す言葉です。いったいどんな教育法なのでしょうか。ご紹介します。

 コダーイってどんな人?

1882年にハンガリーの都市・ケチケメートで生まれたコダーイ。音楽を愛し、自らも演奏を行う両親のもとに生まれた彼は、幼少期からヨーロッパの音楽やハンガリーの民謡に日常的に接する生活を送っていました。コダーイはピアノ、バイオリン、チェロを学び、さらに大学では哲学と文学を学ぶと同時に音楽院へ通い、作曲と音楽教育のディプロマを取得。その後、作曲家として活躍しながら、ハンガリー国内の民謡の収集と音楽教育に高い関心を示していました。

1925年、少年学校の子どもたちに向けて二曲の合唱曲を作曲したコダーイは、音楽教育の大切さを痛感。1929年に論文「子どもの合唱」を著し、学校教育における音楽の大切さを説きました。コダーイは「感受性が豊かな子どものうちに質のよい音楽体験をしたことがない人間は、生涯にわたって音楽の恩恵を受けることのできない人間になってしまう」と考え、質の高い音楽教育を行うのは学校教育における義務であるとしました。

音楽教育は限られた上流階級の家庭だけが受けられるものだった当時のハンガリーで、コダーイの主張はなかなか受け入れられませんでした。
ですが現在では、コダーイが提唱した音楽教育のメソッドが広く知られ、世界中の幼児教育・学校教育の現場で採用されています。

 コダーイが提唱した音楽教育とは

コダーイは「音楽は音楽能力だけでなく、子どもたちの能力を多面的に育てるためのもの」と考えました。実際にコダーイの論文では「音楽におけるリズムは集中力や注意力を研ぎ澄ませ、決断する能力を発達させるのに役に立つ。強弱と音色は、聴器官の感度を高めてくれる」と述べられています。

では、コダーイシステムでは、どんな教育が行われるのでしょうか。

 音楽教育は「わらべうた」からはじまる

音楽は第二の母語であるという考え方から、自国のわらべうたから音楽教育をはじめるというのがコダーイシステムの一番の特徴かもしれません。コダーイは、赤ちゃんが生まれる前、ママがおなかの赤ちゃんのために子守歌の準備をはじめることが音楽教育のスタートだと考えました。赤ちゃんが誕生したあとは、母国のわらべうたが一番の教材です。わらべうたは、その国に古くから伝わる伝統と文化であり、母語を学ぶ教材としてもぴったりなのです。わらべうたに触れるなかで、無意識のうちに母国の音楽の特徴を学び、また母国語を学んでいきます。

とはいえ、外国の音楽を否定するわけではなく、母国語を覚えてから外国語を学ぶように、音楽も母国の音楽を学んだうえで外国の音楽に触れるよう推奨されています。

 歌うことの大切さ

コダーイシステムの特徴として、声に出して歌うことをとても大切にしているというものが挙げられます。保育の現場では、ピアノの伴奏に合わせて歌をうたったり、ピアノで音程をとったり…と、するのが一般的ですが、コダーイシステムの場合、ピアノの音に頼らず、自ら声を出して音程をつくり、正しい音感を養うことを重視しています。保育の現場で歌に取り組むときはピアノの伴奏をつけず、すべてアカペラで行われるのがコダーイ流。ピアノに依存せず、自分の音を聞き、正しい音程(純正調)を身につけるとともに、お互いの声を聴きあい、多声を聴く耳を育てていきます。

楽器を使った教育をすることもありますが、この場合もまずはリズムと階名でしっかりと楽譜が読めることが前提です。楽器をはじめる時期としては、十分に楽譜を読むことができるようになり、楽器を弾けるほど指先が発達していることが目安となります。

 ソルフェージュ教育を重視

音楽の基礎力をつくる「ソルフェージュ」。ピアノ経験がない人にはあまりなじみのない言葉かもしれませんが、楽器を演奏するうえでは欠かせない、音の読み書きを指す言葉です。コダーイシステムではソルフェージュを重視し、楽譜を読む導入として、ドレミ…を手で使って表すハンドサインや、文字譜(レターサイン)を使い、小学校入学ぐらいの年齢から、簡単なメロディを聞き取り、レターサインで書く練習が始まります。

またコダーイシステムでは楽譜で調が変わっても、ドの位置(開始音)を移動させることで旋律をうたうことができる「移動ド唱法(階名唱法)」を採用。「ハ長調」「イ短調」といった調性を感じやすくすることで、音楽への理解を深めていきます。

 コダーイシステムを採り入れた教育例

 0歳から保育園・幼稚園入園まで

コダーイシステムでは、感受性が豊かな幼少期からの早期教育が大切だと考えられています。保育園や幼稚園に入園するまでの家庭で過ごす時間にも、コダーイシステムによる教育を取り入れることは可能です。たとえば、生まれてすぐ、日本の子守歌をうたって聞かせる、両親がわらべうたを覚え、家庭での遊びに採りいれる…といったことも、コダーイの理論に基づく教育法といえるでしょう。

わらべうたを通じたふれあいは、子どもたちにとってかけがえのない両親とのスキンシップの時間になります。ぜひ積極的に取り組みたいですね。

保育園・幼稚園入園から就学まで

家庭でのわらべうた教育を保育士や幼稚園教諭が引き継ぎ行います。人形劇や小道具、絵などを使って歌い聞かせることも加わり、子どもたちは楽しみながら音楽を学んでいきます。また、テンポよく人形を動かしてみるなどリズムをつけることで、リズム感(拍感)を身につけさせていきます。
3歳を過ぎ、集団での遊びを楽しむことができるようになった子どもたちには、リトミックのように歩行や手拍子、ダンスなどを採り入れた身体運動を行っていきます。ただし、リトミックのようにピアノを伴奏として使うことはせず、歌のみ、それも母国のわらべうたを使って行われるのがコダーイシステムです。

音の高低や音量の大小、テンポの速さなどを観察・認識させるなど、歌を楽しみながら音楽を通じてたくさんのことを学んでいきます。

小学校入学以降の教育

コダーイシステムでは、就学しても二年は集団でのわらべうたを使った身体運動を続けるべきとされています。それからのステップとして、音楽を楽譜に書き記したり、楽譜をさらってうたったり…ということをようやくはじめていきます。楽器をはじめるのは、十分に楽譜を読み書きする力が身に付き、運動能力が発達した7~8歳ごろからが最適だというのがコダーイの考えです。

いかがでしたか。近年では、音楽教育に力をいれている保育園・幼稚園は増えており、コダーイの教育メソッドを採り入れた園も増えてきています。わが子に音楽の道を目指してほしい…という方はもちろん、音楽を楽しみながらのびのびと育ってほしいという人にもおすすめの教育法です。コダーイシステムに興味を持った方は、まずは日本のわらべうたを家庭で楽しんでみてはいかがでしょうか。

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