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子どもの学習能力をアップさせる!「レディネス」ってどんなもの?

保育 レディネス
心理学用語の「レディネス」という言葉を耳にしたことがありますか?子どもの教育現場でも使われることが増えてきたレディネスについて、解説していきます。

小さな子どもたちが、まず喋ることを覚えてから読み書きを習得していくように、学習には学びはじめるための土台が必要です。

このように、学びはじめる基礎がつくられていることを、心理学用語では、「Readiness(レディネス)」と呼びます。
レディネスという言葉は、特に子どもの教育にかんして使われることが多く、学習をより効率的に行うために、とても大切な概念だと考えられています。
幼児教育や保育などの分野でも認知されている、レディネス教育の概念について学んでいきましょう。

 レディネスって何?

レディネスとは、アメリカの心理学者であり教育学者であるエドワード・L・ソーンダイクが提唱した言葉です。人が何かを学ぶときには、心とからだの機能が、行動や知識を習得できるまで発達していることが条件となります。このように、学ぶ準備が整った状態を指す言葉が「レディネス」です。特に子どもの教育現場でよく使われることで、「準備性」とも呼ばれています。

レディネスのメリット

レディネスのメリットは、なんといっても学習を効率的で効果的に身に着けられるようになることです。レディネスができあがった状態で学習を始めることができれば、子どもたちの心とからだに学ぶ土台ができているため、興味をもって学習をはじめることができます。一方で、レディネスができあがっていない状態で学習をはじめてしまうことで、学びに興味を持てなかったり、混乱してついていけなかったり…と、学習効果が得られないどころか、かえってマイナスの効果を及ぼしてしまうリスクもあるといわれています。

学びには「学びどき」がある

子どもの発達過程では、学習内容によってぴったりのタイミングがあります。読み書きができない子に小学生が習うような国語教育を行うのが難しいように、早期すぎる教育は効率的とはいえません。

レディネスの大切さを裏付けたゲゼルのテスト

心理学では、子どもの学習について、「学習優位説」と「成熟優位説」の二つの主張があります。教育は早ければ早いほど効果を示すと考えられている「学習優位説」に対し、一定の成熟がなければ教育は意味をなさないと考えられているのが「成熟優位説」です。学ぶ土台ができていないと、効率的に学習が行われないと考えるレディネスの概念は、まさに成熟優位説に基づくものといえます。

アメリカの心理学者であり小児科医でもあったアーノルド・ゲゼルが唱えた「成熟優位説」を裏付けたのは、「双生児統制法」と呼ばれる一卵性双生児を使ったテストでした。これは、双子の一方(T)に早期から階段のぼりの訓練をさせ、もう一方(C)にはTが登れるようになってから訓練を行うというもの。練習にかけた期間はTのほうが長かったにも関わらず、練習を繰り返すうちに、階段をのぼり切るのにかかる時間はCのほうが早くなったという結果となったのです。この結果を受け、ゲゼルは成熟優位説を提唱。学習を効率的かつ効果的にするためには、早期教育よりも発達の基礎がつくられていること、つまりレディネスの成立が欠かせないことを裏付けることになりました。

学びは早すぎても、遅すぎてもいけない

ゲゼルの成熟優位説は、過剰になりがちだった早期教育にストップをかけるきっかけになりました。とはいえ、一定の成熟を待ってから教育を行うべきという考え方は、消極的で「待ち」の教育ともいえるもの。さらに、成熟さえしていれば年齢に関係なく効率的に学習ができるというわけではなく、学習には内容に応じた適切な成熟度や時期があることが明らかになりました。これらを受けて近年では、レディネスができあがっていくのを待つのではなく、レディネスを形成させる教育についても、考えられるようになってきているなど、レディネスの在り方も変わり始めています。

レディネスを採り入れた学習って?

では、レディネスの概念を採り入れた学習とは、いったいどんなものでしょうか。『新版現代学校教育大事典』によると、レディネスは「教育や学習による行動変容が効果的に行われるための発達的素地」と定義されています。具体的には、いったいどんな学習を指すのでしょうか。

従来の宿題とは違う?レディネス学習の内容とは

一般的に、レディネス学習は次のような流れで行います。

  1. 授業中や授業の終わりに、教師が子どもたちに次回の授業に関連した簡単な課題を出す
  2. 子どもたちはそれぞれが自ら考えて課題に取り組むことで、次回の授業に関連する事柄について興味や関心を持ち、事前知識を身につける
  3. 事前に出された課題について、子どもたちの興味や関心を吸い上げながら授業に活かしていく

この流れからもわかるように、レディネス学習はかつての「宿題」に近いものかもしれません。ですが、より効果的に学習が進むよう、授業としっかり関連づけたものがレディネス学習です

レディネス学習のメリット

 

 

従来の宿題では、「ワークを指定ページ分終わらせて提出する」「指定された漢字の書き取りを行う」など、課題に取り組む時間や手段が決まっていましたが、レディネス学習では自由です。たとえば、課題についてひとりで図書館へ行って調べてもいいですし、家族や友達と相談して進めても構いません。インターネットで調べるのもいいですね。課題に取り組む時間も自分次第なので、興味を持った子どもはじっくりと取り組むことができます。

それぞれが調べ、興味を持った内容で授業が展開されていきますので、子どもたちは授業に自発的に意欲をもって参加し、課題にたいする知識をより深めていけるようになります。

また、子どもたちが授業へ積極的にアイディアを持ち込むようになりますので、教師にとってもいい刺激となり、オリジナリティにあふれた授業を展開できるようになるのではないかと考えられています。

レディネス学習のデメリット

子どもたちに自発的に興味や関心をもってもらうことで、学習の下地、つまりレディネスをつくり、意欲的に授業に参加してもらうというレディネス教育。一見するとシンプルな内容にも感じられますが、シンプルだからこそ、課題の設定や授業の展開方法などに難しさがあります。

レディネス学習における理想的な課題づくりのポイントは次の3つです。

1.「やってみよう」「考えてみよう」と興味・関心がわくような内容であること

2.複数教科のレディネス学習に対応できるよう、負担にならない分量であること

3.「何を考えればいいんだっけ…」と迷ってしまわないよう、簡潔に指示ができていること

教師は、これらを踏まえて、子どもたちの発達に応じたレディネス学習について考え、子どもたちの興味や関心を吸い上げた授業を展開していかなければなりません。

レディネス学習は学び続ける姿勢をつくる

心理学用語だったレディネスですが、このように教育現場ではレディネスの概念を活用した学習法がたくさん展開されています。学びの基礎をつくり(もしくはつくられてから)学びに取り組むことで、より効率よく効果的に学んでいくというレディネスの概念は、家庭での学習に不明点も活かしていけそうですね。

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