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保育士の有効求人倍率が高い!人材不足解消へ向けての取り組み

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保育士の求人倍率が高い
保育士の人材不足が問題視されるようになってから、もうかなり経ちます。特に一極集中が進む首都圏ではその傾向が強くなっていて、保育士に対する有効求人倍率が高い状況が続いています。これは、保育士になりたい人よりも保育士の募集がはるかに上回っていることが原因ですが、なぜそうした状況が続いているのでしょうか。

ここでは、その保育士不足の原因を掘り下げてみることにします。また、厚生労働省を中心に行われている保育士の人材確保や処遇改善を目指す取り組みも合わせて紹介します。保育士を取り巻く雇用状況や転職、キャリアアップに役立つ情報を把握して、保育士としてのキャリアを着実に積み上げていきませんか。

今回のポイント

首都圏を中心に人材不足は続いており、給与や賞与の改善を望む保育士は半数以上に及ぶ。

厚生労働省は潜在保育士や養成施設の卒業者を対象に、就業を呼びかけるキャンペーンを実施。

研修体制や福利厚生を整える動きも見られる。

有効求人倍率から見る保育士不足

保育士の人手不足は、全国的に取り沙汰される状況が続いています。保育士としての就業を望む方にとって、そのときどきの採用状況はぜひ把握しておきたいポイントと言えるでしょう。

そこで、まずは有効求人倍率の面から保育士の採用の現状をひも解いてみます。

有効求人倍率とは求職者と求人数のバランスを表す指標で、求人数÷求職者数から割り出されます。厚生労働省の「職業安定業務統計」では、2017年10月時点で保育士の全国有効求人倍率は2.76倍を記録し、中でも東京の有効求人倍率は5.39倍まで達しました。保育士の求人は、全国的に見ても求職者数より求人数が多い状況があり、特に東京は人材不足が進んでいます。

2017年4月の厚生労働省調べによると、全国の待機児童は26,000人を超えている状況で、その3割以上を東京都が占めています。各自治体は保育所の整備に努めているものの、保育士の採用が間に合っていません。2013年時点の厚生労働省調べでは、約119万いる保育士登録者のうち、実際に勤務している人数は約43万人に留まっており、保育士の資格があっても実際に勤務していない潜在保育士は、約76万人に及びます。こうした状況からは、保育士の資格を保有した人材を活かしきれていない現状が浮かび上がってきます。

指定保育士養成施設の卒業者にも目を向けてみましょう。厚生労働省の調べによると、現状では約半数の卒業者が保育士として就職していません。保育士養成施設の卒業者は、大方が保育士を目指すと思われがちですが、実際には、保育所以外を勤務先に選ぶ方も多くいます。

ハローワークを対象とした2013年の調べを見ると、保育士の資格をもった求職者のうち、その約半数が保育士での就職を希望しないというデータがあります。保育士として働くことを希望しない主な理由は、責任の重さ、事故への不安といった心理的な負担です。また、一度退職した方が保育士での再就職を望まない理由では、就業時間や雇用形態が希望と合わないといった条件面のミスマッチが見られます。

保育士の人手不足の原因

就業中の保育士は、職場に対してどのような不満や要望をもっているのでしょうか。厚生労働省の「保育士等における現状」のデータでは、約6割の保育士が給与や賞与に不安を感じています。「賃金構造基本統計調査」によると、保育士の全国平均年収は3,233,400円で、月給は223,300円です。これらの金額には管理職の給与も含まれるため、現場の保育士はより低い収入であると予想されます。

加えて、会議や記録、報告といった事務・雑務の軽減を望む声は多くあります。保育士の日常業務は肉体労働が多く、保育の後も連絡帳や報告書の記載、会議、行事の準備といった仕事が続きます。忙しいときには残業も発生することから、疲労もたまりやすく、有給休暇消化率の改善や職員数の増員なども望まれます。

労働条件や職場環境への不満をためやすい状況にありながらも、依然として給与や賞与が低い水準にあることは、保育士のなり手が減少する大きな要因と言えるでしょう。

保育士確保のための取り組み

厚生労働省の保育士確保集中取組キャンペーン

保育士の恒常的な人材不足は早急に解決すべく、厚生労働省は2017年4月から2018年3月にかけて「保育士確保集中取組キャンペーン」を実施しました。方策として潜在保育士への復帰サポートや就職のあっせんなどを行うとともに、指定保育士養成施設の卒業者や卒業予定者に対しては、各自治体や保育関係の団体との連携を図り、保育士への就業を積極的にアピールしています。また、処遇改善や再就職の支援、勤務環境の改善などを紹介したリーフレットを配布することで、ハローワークや保育士・保育園支援センターへの登録につなげました。

ハローワークでは、「保育士マッチング強化プロジェクト」という支援に重点的に取り組みました。また、一定の期間、保育士の確保が困難な状態にある保育所には、都道府県や保育士・保育園支援センターと連携した就職のあっせんをはじめ、求人内容などの相談やサポートも行われています。求職者に対しては、保育園の見学会などを通じて仕事の魅力を伝えるとともに、保育園とのマッチングを図るための合同説明会も実施されました。

保育士のキャリアアップ研修

2017年4月からは、厚生労働省により保育士のキャリアアップ研修が行われています。目的は保育士の待遇の向上と専門性の強化で、保育士のキャリアに関する指針を作ることが狙いです。具体的には、副主任保育士や専門リーダー、職務分野別リーダーといった新しい役職を置き、手当を支給します。職務分野別リーダーは、食育・アレルギーや保護者支援・子育て支援などの研修を修了しなければならないなどの諸条件を満たすことで発令される役職です。職務分野別リーダーを経験すると、上位職にあたる副主任保育士や専門リーダーを目指せます。その先には、主任保育士や園長への道も用意されています。

支給金額は、副主任保育士、専門リーダーが1カ月当たり40,000円、職務分野別リーダーは1カ月当たり5,000円と定められています。手当は、該当する保育園へ国から一律で支給される仕組みです。支給される人数の上限が決まっており、一つの保育園につき、園長・主任を除いた5分の1までが対象となります。金額の配分は、保育園ごとの方針や判断により変更が可能です。

1度研修を修了すると、ほかの保育園に転職した場合やブランクが発生した場合でも、その効力は持続します。

借り上げ社宅制度

東京都や神奈川県などの首都圏を中心に、行政による住宅支援も行われています。保育士借り上げ社宅制度と呼ばれるもので、社員が住む物件を企業が借りて、貸し与える福利厚生制度です。保育士の人員確保や就労の継続を目的に実施されています。条件の範囲内で社員が好きな物件を選ぶ場合や、企業側で借りた物件に住む場合もあります。

社員の金銭的な負担は概ね1割程度と少なく、自己負担がないケースも見られます。借り上げ社宅が従来の住宅手当と異なるのは、給与に上乗せをする形での支援ではない点です。住宅手当として基本給に加算されないことで、社会保険料を抑えられるほか、課税の対象外となります。

多くの自治体や企業では、家賃補助の金額は1カ月当たり82,000円が目安となっています。自治体ごとに、実務経験が5年以下といった条件がつく場合もあるので、利用を検討するときには確認が必要です。

若い保育士が首都圏で就職や転職を考えるときには特に、経済的な支えとなる制度です。保育園の近くに住まいがあれば、通勤の負担は減り、働き続けやすい環境を得られるでしょう。

おわりに

保育士の仕事における有効求人倍率が高く推移していますが、一面では、辞職や異業種への転職が多く、働き続けづらいのでは?というイメージがあるかもしれません。しかし、それだけ人材を求めている企業が多いということですから、チャンスが多いことは確かです。

現状では、国や自治体単位で収入や福利厚生の改善を図り、保育士になりたい方を増やすとともに、就業の継続を支援する動きが見られます。これから保育士を目指す方もブランクのある方も、支援制度を有効的に活用することで、自分に合った働き方を模索することが可能になっています。ぜひ資格を活かして、保育士としてのキャリアを大事にしてください。

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参考資料

厚生労働省データ
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000057759.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000155996.pdf

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