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障害も年齢も能力も関係なし!みんなで一緒に学ぶ注目の「インクルーシブ教育」とは?

NHKでも取り上げられたインクルーシブ教育。多くの人が知っておかなければならない重要性がそこにはあると思います。

通常、保育園や幼稚園では年齢ごとに学年が分けられ、学校によってはその子の能力に応じてクラス分けされることも多いですよね?今、教育現場で注目を集めているのは、障害があっても、年齢や能力がバラバラでも関係なく色んな子が一緒になって学ぶ「インクルーシブ教育」です。

「我が子のクラスに本来いないはずの特別なサポートを必要とする子や年齢が上、または下の子が、我が子の目の前にいて一緒に学ぶ」という環境です。これによって子供たちは、相手の気持ちや感情に気づかされ、協調性や観察力、想像力を身に着けていくそうです。今回はこの「インクルーシブ教育」のメリットとデメリット、将来性について紐解いていきましょう!

■インクルーシブ教育とは?

インクルーシブ教育とは、簡単に言えば「障害のある子とない子が共に学ぶ仕組み」であり、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会、つまり「みんな違っていて、それでいい」という共生社会を目指していくことです。他の年齢の子と一緒に学ぶ方法は、モンテッソーリ教育などでも取り入れられていますが、障害のある子を障害のない子と一緒に学ばせて、多様性を受け入れた教育環境はインクルーシブ教育の最も大きな特徴と言えるでしょう。

■インクルーシブ教育のメリットとデメリット

≪メリット≫

障害のある子供にとってのメリットは、本来であれば特別学級に入れられて同じ世代の障害のない子供たちとは一緒に過ごすことは少なくなるが、インクルーシブ教育では、障害のある子どもが、地域の同世代の子どもや人々の交流等により、可能な限り共に学ぶことができます。そうすることで、障害のある子供たちは自らの劣等感を感じながらも平等な機会を与えられて充足感を得られる可能性が高まります。

また、障害のない健常児側としては、障害に対して理解を深めることができ、思いやりや優しさが育つことが期待されます。障害に対する偏見も減る可能性が高まりますよね。

 

≪デメリット≫

障害のある子供からすれば、メリットとして健常児と同じ平等な機会を与えられる一方で、もちろん同じことがスムーズにできない劣等感を感じる可能性はあるでしょう。しかし、ともに助け合っていく環境を周囲の大人が協力して作り上げていくことで徐々に改善されていくことが期待されています。

また、健常児からの視点でのデメリットとしては、障害児のお世話係りを任されたりなどしたことが負担になってしまう可能性もないとは言えません。しかし、一人で抱え込むのではなく、周囲の同じ健常児や大人がサポートして悩みながらも一緒に解決の道を考えられるのでデメリットとして言い切る必要はないのではないでしょうか?

 

≪保育士にとってのメリットとデメリット≫

障害のある子供もいて、年齢や能力もバラバラとなると、保育士としては何から教えていいのか最初は戸惑うかもしれません。しかし、これは新しい世界の教育の波を考えると大きなスキルアップに繋がると考えられるでしょう。今までは0~1歳児を担当、もしくは年長さんを担当など、学年に分かれていたり能力に分かれたクラスを担当していた保育士の方は、どんな子供が今後現れても対応できるようになるということです。それは保育士のキャリアとしても、一人の人間としても大きな学びと経験になることは間違いないでしょう。

 

インクルーシブ教育

 

■NHKのプロフェッショナルでも話題に!

保育士の野島千恵子さんは、30年以上前から、障害のある子どもや年齢の違う子どもを一緒に育てる「インクルーシブ教育」を実践してきました。子どもたちが自分で考え、支え合っていくその手法は、研究者から大きな注目を集めています。野島さんは、子どもの頃、年齢も体格も違う子どもたちとよく遊び、ケンカもしていたそうです。人とぶつかり合うことで、相手の気持ちや感情に気づかされ、人を思いやる心を育んできたと言う。この自らの経験をヒントに「インクルーシブ教育」にたどり着きました。

 

 

■野島さん流のインクルーシブ教育のポイント

1、年齢も能力もバラバラの子どもたちで1つの課題に取り組ませる

子供の年齢も能力も障害の有無も関係なく、子供たちで小さなグループを作り、グループで1つの課題に取り組ませるそうです。グループの名前を好きなように決めるたり、給食を好きな場所で食べるなど、子どもたちの興味を引く課題を次々と投げかけ、どうグループでまとめていくか考えさせます。

2、周囲の大人はあれこれ指示を出さない

言葉がつたないところはフォローしつつ、子供たち同士で意見をぶつけ合わせ、相手を尊重する力を身につけさせるように促します。このプロセスの中で、子どもたちは互いに刺激を受けながら、成長し合っていきます。野島さんいわく、「子供は他の子供を教材として学んでいく。人は人に影響されて自分の価値観も大切なことも、みんないろんな価値観があると思いながら、自分で作り上げていく。」と考えて周囲の大人は必要以上の指示は出さないようにしています。

3、トラブルは成長のチャンス!自分たちで解決させる

年齢も能力もバラバラの子どもたちが共に行動すると、もちろんたくさんのトラブルが起きます。年長さんはできることが年少さんができないなどは当たり前にあります。しかし、そのトラブルこそが成長のチャンスと捉え、子供たちに徹底敵に話し合わせるそうです。大人の都合でどちらが良い悪いと判断することはせずに、大人も一緒に子どもたちの輪に入りながら、トラブルの解決策を考えていきます。

4、諦めさせない

野島さんが大切にしているのが、子供の心を動かし、納得させるまで諦めさせないことです。例えば「なぜ相手の嫌がることをしてしまったか」、トラブルを起こした子どもは、気持ちを租借するのに時間がかかり、すぐに原因を口にしないことが少なくありません。しかし、野島さんは子供が本音を吐き出すまで待ち続けます。そして取るべき行動を伝えるようにします。1度や2度ではなく、子供の表情を注意深く見ながら、何度も言い続けることで、子供の心が動く瞬間を積み重ねていくことが、成長に繋がっているのです。

5、保育士たちにも配慮を!

野島さんは一緒に働く保育士たちにも気を配っています。子供同士のトラブルや、けがや体調などの安全面など、子供と向き合うのは想像以上に根気も体力も必要です。保育は、人が人を育てる仕事のため、「保育士の心の余裕こそが、子どもの成長に欠かせない」と考えています。野島さんは25年前には業界に先んじて時短制度を導入し、週休完全2日制にしました。1人1人の負担を抑えることで、離職率は下がり、手厚い体制を実現できるようになったそうです。人件費は4割増え、採算はギリギリですが、保育の質を保つためには必要なことだと断言しています。

 

■世界でのインクルーシブ教育とは?

≪フランスでのインクルーシブ教育≫

フランスでは、障害の有無にかかわらず、教育への平等なアクセスを共和国憲法が保障しています。教育システムとしては、フランスの人口は日本の約半分ですが、就学人口は比較的多く、授業内容の修得状況によって原級留置や飛び級があります。原級留置を繰り返す場合には、共通基礎の修得を断念し、中等教育段階の早期から職業自立を目指す教育が実施されます。

障害のある子どもの場合には個々のニーズによって、通常の教科学習だけでなく、コミュニケーションの指導、日常生活の指導、身辺自立、運動・動作、点字、歩行訓 練など、日本でいえば自立活動にあたる内容を指導することや、身辺の介助、医療的 ケアなどが必要となります。このシステムの中で、通常学校と特別教育施設を行き来しながら就学することもあり、柔軟な仕組み作りが施されています。

≪イタリアでのインクルーシブ教育≫

イタリアでは、障害がある子どものみを対象とした学校は廃止され、幼稚園から大 学まで、障害の有無にかかわらず、通常の学校に就学することになっています。1975 年に内閣委員会が、障害のある子供の教育について「通常の学校は障害がある子供の教育の場として最も大切な場であり、分離した特殊教育施設を廃止して、幼稚園から中学校まで、通常の学校の中で教育が行われるような新しい運営が必要である」と発表しました。

それ以後イタリアでは、この勧告に沿った法整備が進められ、幼稚園から大学まで全ての学校教育段階において、障害がある子供も一般の学校で学ぶシステムが整えられ、現在に至っています。

■まとめ

話題のインクルーシブ教育について触れてきましたがいかがでしたか?日本ではまだ聞き慣れない言葉ですが、文部科学省でも「共生社会の形成に向けて、インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」を掲げています。日本は教育後進国と言われていますが、世界の波に乗って教育環境を早急に整えていかなければいけない状況に直面しています。

その中で、このインクルーシブ教育は子供たちにとって多様性を受け入れる良い機会になっていくでしょう。国際人として活躍するには障害の有無も、国籍も人種も宗教の壁も乗り越えて様々なコミュニケーションを取っていく必要がありますよね。今後、日本でよりインクルーシブ教育が広がっていくことが期待されるので、保育士の方も保護者の方も子供たちとの接し方を見直す良いチャンスになるのではないでしょうか?

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