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精神分析学の創始者”フロイト”の発達理論ってどんなもの?

フロイト
精神分析学の創設者と言われる“フロイト”。オーストリアの精神医学者である彼は、臨床の現場を通して無意識の概念や夢分析などを行いました。その中でも“心理性的発達理論”は保育士の試験でも聞かれることがある重要なものです。

フロイトとは

フロイトはオーストリアの精神医学者・精神分析者で、1856年にオーストリアのユダヤ人の家庭に生まれました。

17歳でウィーン大学に入学した後、医学部で両生類や魚類の脊髄神経細胞や脳に関する臨床研究を精力的に行っていました。その後も、脳と心の働きの関連性を解き明かすことを研究の主旨として活動を行っていくことになります。

今だからこそ、“精神医学”という領域はメジャーになっていますが、フロイトが精神科医として活躍していた100年前の当時はその領域はあまり一般的ではありませんでした。そのため、フロイトは人の心の中を探って分析する“精神分析学”の創始者であると言われています。

フロイトの考えでは、人間のすべての行動には必ず心理的な裏付けがあり、その裏付けのほとんどが「無意識」であるとされています。つまり、私たちが普段意識的に行っていると思っている行動でも実はそのほとんどが「無意識」という領域の支配を受けているというものなのです。意識して行動しているつもりなのにそれが「無意識」に基づいたものであると言われるなんて、少し混乱してしまいますよね。

その他にも、フロイトには興味深い考え方がいくつかあります。それについていくつか、次の項で紹介していきます。

フロイトの主要な考え方

フロイトの主著である『夢分析』『精神分析入門』において、いくつもの興味深い考え方が書かれています。その中でもいくつかピックアップしたものをご紹介します。

意識・無意識・前意識

精神分析においては、よく意識を“氷山の一角”に例えて説明しています。

氷山は、その見えている部分はほんの一部であり、大部分が水面下にあります。見えている部分を私たちが自覚することのできる意識、水面下にある部分を無意識としています。つまり、心の大部分は普段は隠れているということです。その隠れている大部分には、本能衝動や観念、記憶といったものなどが抑圧されているのです。

つまり、ここまで述べたことを分かり易くまとめると、

 

意識…私たちが普段自覚できる意識、日常的な言葉で使われる意識と同義

無意識…私たちが自覚できない心の領域、欲望や記憶などが抑圧されている

 

ということになります。

さらに意識・無意識の2つに加えて、無意識と意識の中間にあり、努力や他者からの指摘によって意識することのできる部分を前意識と言います。つまり、頑張れば意識することのできる部分、と言えば分かり易いかもしれません。

エス・自我・超自我

フロイトは、人間の精神は三層でできていると考えました。その三層は、下から順にエス・自我・超自我となっています。

 

エス…人の精神の最下層にあたる部分です。完全に無意識的なもので、快楽原則にのみ従う人間の欲望の原動力(フロイトはこれを“リビドー”と呼びました)であると言われています。そのため、行動を統一するための機能や、価値・道徳的判断などは持っていません。

超自我…精神の最上層に位置するものです。超自我は、「~すべき」という良心や道徳心を示すものです。これは、幼少期の親のしつけや社会的な価値観を取り入れながら形成されていきます。超自我の機能としては、エスの本能的衝動を抑圧する、完璧や理想を追求するといったものがあります

自我エスと超自我の間に位置するものです。自我は、エスと超自我からの要求を受け取り、外界からの刺激を調整する機能を持ちます。人間は、生まれてからしばらくはエスに突き動かされて行動をしていますが、成長の過程で社会に触れることで、エスを調整する方法を身に着けていきます。例えば、絵画や音楽などの芸術は、エスを自我の力で変形させた姿であると言われています。

 

エスは生まれながらにして皆さんも持っているものですが、自我や超自我は人によってレベルやタイプが異なっているのも特徴になっています。

これらは、フロイトの考え方の中のほんの一部ですが、この考え方を踏まえた上で、子どもの発達を見ていく上で語られる心理性的発達理論というものがあります。このフロイトの発達理論は、乳幼児から青年期にかけての性的欲求を中心とする精神エネルギー=リビドーの発達過程を明らかにしたもので、保育士の試験などにもたびたび登場しています。

これから、心理性的発達理論について詳しくご説明します。

フロイト

心理性的発達理論とは

フロイトは、精神分析学を発展させていく過程の中で、人間の乳幼児期から青年期までのリビドー(性エネルギー)の発達を明らかにし、どのようにして性格が形成されていくのかということを分析しました。

リビドーの源泉となる身体の部位は口・肛門・性器が挙げられています。一定の時期に身体の特定の部位の感覚が敏感になることから、リビドーにも発達段階があると考え、敏感になる身体の部位に基づいて5つの発達段階を提唱しています。

この理論の中でフロイトは、リビドーが5つの段階においてどのように処理されるかによって人間の性格が定まっていくと述べています。

 

口唇期(0~1歳の乳児期)

リビドーに関する部位:口、唇

口唇期において、お母さんのおっぱいを吸う、いわゆる授乳という愛情行為を通して性格が形成されると言われています。また、授乳がされていない時はおしゃぶりや自分の指を吸っているという行動も特徴的です。

欲しい時に十分授乳をされるとおっとりとした性格になり、足りないと甘えん坊・依存的な性格になります。これは、何とかして自分の気持ちを満たそうという気持ちが強くなるためと言われています。また、リビドーがこの時期にとどまってしまうと飲酒、過食、喫煙、また爪を噛むといった問題につながります。

肛門期(1~3歳)

リビドーに関する部位:肛門と排泄のしつけ

肛門期は、おむつが取れ、トイレトレーニングを開始する時期のことです。この時期は、快感を得る部位が口唇から肛門へと移動するため、欲求を排泄によって満たそうとします。この頃のしつけにより、人は我慢することや反抗することを覚えていきます。そのため、親のしつけがしっかりしていないとお金や時間にルーズな性格、厳しすぎると几帳面で創造性が乏しい性格になりやすいとされています。

男根期(4~5歳)

リビドーに関する部位:男根と男らしさ・女らしさの意識

男根期は、性に対する意識・識別をするようになる時期のことです。この時期に男女の違いにも興味を示すようになり、この時期に「男または女はこうあるべき」という扱いを受けると、それ以降の男らしさや女らしさの意識に影響します。

この時期の特徴の一つに、エディプス感情があります。人生最初の異性を男児も女児も親に求めるようになり、女児は父親に、男児は母親に愛情を持つようになりますが、その際に同性の親をライバル視することをエディプス感情と言います。

潜伏期(小学生の時期)

リビドーに関する部位:特になし

この時期、リビドーは抑圧され表に出なくなり、その衝動は勉強やスポーツに向けられるようになります。これは、自我と超自我が発達してきているからであるという説もあります。

この時期の子どもは、社会のルールや知識の獲得、友人関係の構築、興味や関心があることに力を注ぎながら社会性を身に着けていきます。自分の欲求を抑圧し、社会に合わせることが必要になるため、この時期にその訓練が不十分であると、青年期移行に非常識な行動をとってしまう可能性があります。

性器期(12歳以降の青年期)

リビドーに関連する部位:性器性欲に到達

性器期とは心理的離乳、つまり心理的に自立する時期のことを指しています。ここでは、これまでの各段階で発達してきたリビドーが統合されます。また、この段階は青年期に始まり死ぬまで続きます。

これまでの段階に問題がなく経過することができていれば、バランスのとれた暖かい思いやりのある人間となるとされています。

 

以上が、フロイトが提唱した心理性的発達理論における5段階となっています。リビドーに注目して発達をみているという点は他の発達論にはない考え方で、とても面白いものですよね。

まとめ

今回は、フロイトの考え方、特に心理性的発達理論について詳しく説明しましたがいかがでしたでしょうか。

この理論は、「男性の性的発達が中心となっている」「科学的な根拠がない」など提唱された当初からこれまでにおいて様々な議論がされています。

しかし、現在でもフロイトが発達理論を語る際によく登場したり、この理論が保育士などの試験にも出題されていることから、発達における考え方において非常に重要な意味があるということは間違いありません。

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