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デューイ:協力と経験、そして学習
ジョン・デューイは19世紀後半から20世紀前半にかけて活動した哲学者で教育学にも大きな貢献をした人物として知られています。
ここでは彼の教育や保育に関する考えを中心に彼の思想を見ていきましょう。
ジョン・デューイは1859年にアメリカのバーモント州の小さな街に生まれました。その頃のアメリカはアメリカ大陸東海岸の13の州だけだった国が大陸の西海岸にまで到達し、今私たちの知るアメリカ合衆国の国土(アラスカ・ハワイを除く)がほぼほぼ完成した時期になります。西海岸ではコールドラッシュに沸き、デューイが10歳のころには大陸横断鉄道が開通するなどアメリカが経済発展と遂げるにつれ、世界各地からいろいろな人々が豊かな生活を求め、アメリカにわたってきたのです。それにともない、アメリカ各地に都市が形成され、アメリカが農業中心の国から工業を基盤とした国へと変貌を遂げました。
デューイは1952年に92歳でニューヨークで亡くなるまで、このような経済発展、2つの世界大戦、社会主義革命など実にさまざま社会の変容を目の当たりにした人物です。このような変貌に目にしたデューイは今までの教育システムに限界を感じ、新しい教育の形を提唱しました。
デューイの教育論
経験主義
デューイの教育論を一言で片づけてしまうのであれば、それは「子ども中心」の「経験主義」的教育法であるということです。伝統的な子どもたちを教室に座らせて、先生の話を聞くことで学ぶというスタイルの教育法とは対照的で、子どもたちが主体的に経験を通して学ぶという教育法です。今であれば、それほどびっくりするような考え方ではないかもしれませんが、時代を考えてみればかなり斬新なアイデアであったことは想像できます。
オキュペーション(occupation)
デューイは学校が、工業化に対応できる人材を育成を目指すあまり、人類が長年生活の営みとして行ってきた活動を軽視していることを批判し、「オキュペーション」というカリキュラムを取り入れました。
オキュペーション(occupation)とは英語で「仕事」という意味です。つまり簡単に言ってしまえば、「仕事」を体験したながら、いろいろな知識を身につけていこうという狙いです。
オキュペーションには3つの条件があります。
- 子どもたちが心を奪われてしまうほど集中して行える活動(専心的活動)
- 人間が協力しながら生活をより良いものにしてきたことがわかる活動
- 子どもたちが協同で活動を行うことができること
例えとして、デューイは羊毛や綿花から糸を紡ぎだして、服を作るという活動を挙げています。今ではほとんど機械化されてしまっているこの作業も昔は人々の手作業で行われていました。しかし、このような活動を通して、子どもたちは科学的な知識を得ることができるし、この同じ服を作るといった作業が時代や技術の発展とともにどのように変化したかを経験することによって人類の歴史的進歩について学ぶこともできます。
そして、子どもたちが一緒に服を完成させるという共通のゴールに向かって協力することによって社会を支える一員となる能力が育つとデューイは考えたのです。
おわりに
民主主義と教育
デューイは民主主義社会における教育の重要性を訴えています。デューイは学校の役割を「民主主義における生活者を育てること」としました。教育には子どもたちに社会の一員となる能力を与える役割だけではなく、子どもたちが新しい文化を創造し、社会を成長させていく能力を育む役割をあると考えていました。
デューイの教育論は1920年代の「国際的新教育運動」と呼ばれる流れにも大きな影響を与えたといわれています。しかし、今私たちが住む社会を見てみると、少なくとも日本での教育現場のあり方は約100年前にデューイが批判した「一方的知識の伝達」による教育法と大きな違いはありません。
知性と行動
デューイにとって「知性的である」ということは「行動できる」ということでした。知識だけ備えていても、それを使って行動できなければ意味がないのです。とりあえずやってみて、失敗を積み重ねながら目的を実現させる能力を積み重ねていく。このような「行動できる」人材を生み出すデューイの教育法は現代において、さまざまな問題が山積する今の社会において非常に重要になるのではないでしょうか。
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