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隣に保育所は迷惑?深刻化する保育園反対運動の現状とは?

保育園反対運動
保育園が不足しているという社会問題から自治体が動き出しています。しかし、保育園不足の問題の裏では保育園の建設に反対の運動が起きています。では、なぜこのような問題が起きているのでしょうか。

待機児童問題が日々国会で議論される中、保育園の設置に焦っている自治体が増えています。しかし、いざ保育園を設置しようと計画を発表すると住民から「近くに保育所は迷惑だ!」等の非難の声もでて、実施につながらない現状もでてきています。何故、ニュースでは保育園の増加が叫ばれている中でこのような自体が起こるのでしょうか。事例をもとにこの問題を考えていきましょう。

■保育園建設・騒音トラブルで脅迫・訴訟まで!驚きの事例4選!

≪事例1≫高級住宅街で「私たちの税金で保育園を建てるな!」という住民の訴え

東京都品川区の池田山は、JR五反田駅から歩いて5分ほどの高台にある高級住宅街です。皇后美智子さまの生家・正田邸跡地にほど近い一角に認可育園の建設計画が持ち上がり、定員90人の園が開設される予定でした。しかし「民間といえど、運営費のほとんどが私達の税金でまかなわれている認可保育所のこんな高額な不動産への投資はおかしい!」などの保育所建設に反対する住民の方の意見が多くあり、結果的に住民側の意見が通って建設の取り下げが決まりました。

≪事例2≫住民以外の人も反対して多数の署名が集まり保育所新設計画が中止に!

待機児童が多い千葉県市川市では4月、私立保育所の新設計画が中止に追い込まれました。社会福祉法人は、「防音壁を設置する予定でした。住民説明会で二重窓にするなどの提案もしていましたが、聞き入れてもらえませんでした。」と、近隣住民の理解を得られなかったことを明かしました。また、この住宅地は高齢者が多く、待機児童数は少なため、「よその子供の騒がしい声なんて聞きたくない!」という意見もあったそうです。役所側は「近隣にある民家は20軒ほどなのに署名が541人も集まっています。住民以外の人も反対と言っているのはなぜなのか?と思います」と疑問を隠せなかったようです。

≪事例3≫「保育園児の首を切る」など、凶器で保護者を脅す事件が発生!

東京都国分寺市本多では、2014年10月に、保育園の子どもの声がうるさいとの理由で、手おのを見せるなどして保護者を脅したとして、警視庁小金井署は暴力行為等処罰法違反容疑で無職の佐藤毅容疑者(43)を逮捕しました。保育園は佐藤容疑者の自宅近くにあり、佐藤容疑者は保育園児らの遊ぶ声がうるさいと憤慨し、「保育園児の首を切る」などと市役所に電話していました。

≪事例4≫「子供の声がうるさい!」と訴訟に至るケース

2014年9月には、神戸市東灘区の保育園を巡り、近くに住む70代男性が「子供の声がうるさい」として、運営する岡山県津山市の社会福祉法人を相手取り、防音設備の設置や慰謝料100万円の支払いを求める裁判を神戸地裁に起こしました。原告の男性は、保育園の開園前から近くに住んでおり、「自由に窓を開けられる以前の生活環境を取り戻したい。親には心地よい声も毎日聞かされる他人には苦痛です。」と意見を述べています。

■保育園や自治体側の主張

保育園設置を計画し、入園希望の保護者からの問い合わせが毎日たくさんある中で、他の住民からは「保育園のような騒がしい施設設立は、基地のようなトンデモナイものが近くにできるのと同じようなイメージだ!」などと受け取られており、多くの自治体が計画をしては住民の反対で計画中止、延期などに追い込まれています。園側も「何でも受け入れてほしいということを言っているわけではない。できるかぎりの対応を行い、お互いに歩み寄れたら」という姿勢で説明会などを開いていますが、各エリアの住民からの批判は止まらないようです。

■届かない保護者たちの切実な声

子供たちは日本や世界の未来を担う大切な宝です。しかし、保育園反対運動は各地で終息することなく、待機児度問題は一向に解決しません。わが子を預ける保育園を見つけられない保護者たちは、「大規模な保育園ができてくれたらどんなにありがたいか。母親が家で子どもの面倒を見るべきだと考えている人たちばかりなのでしょうか?」「早く保育園を増やしてもらいたいのに、反対運動で水を差されるなんて。」などと嘆き続けています。

■親が子どもを預けて働くことは「わがまま」なのか?子育て世代への厳しい意見!

2013年2月、自民党の杉並区議の田中ゆうたろう氏が保育所を求める親に「子供というものは、基本的には親が家で育てるもの」「お願いです。私達の子育てをどうか手伝って下さい」と言うべきなど苦言しブログが炎上しましたが、実は子育て世代の保護者たちには日々厳しい意見を向けられています。
例えば、「本来、子どもができたら自分勝手なことに使えるお金が減るのは当然。しかし、いまの若い人は親と同居したくないし、収入が減るのも嫌だから、保育所に子どもを預けて働くのが当然というわけです。けれど、できるだけ長い時間、親は子どもと一緒にいるべき!」などと、現代の親たちは自分の都合ばかり押し付けているように社会から受け取られている一面もあります。
他にも、「最初から子育てを社会に押し付けるな、大人の都合に子供を巻き込むな」、「出産したら会社を辞めて子育てに専念しなさい」、「泣く子には睡眠薬を飲ませて静かにさせろろ!無理なら公共交通機関の利用を控えろ!」、「出産した女性は会社に迷惑をかけてまで働くべきではない」など、「『保育園反対運動は周辺住民のエゴだ』という前に『親のエゴ』を社会や子供に押し付けるな!」というのが保護者が直面している厳しい現状です。

■確かに納得できる点も多い住民の主張

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≪主張1≫子育て世代以外にはメリットがない!

保育園設置に反対するのは住民のエゴだという人もいますが、住民側としては、「私たちはこの閑静な環境のために高額な固定資産税や相続税を納めている。」という意見も多く、子育てをはるか昔に終えた老年・中年世代からすれば、孫などが近くにいなければ保育園は普段全く利用しない施設です。保育園を設置すると子供の声がうるさくて迷惑であり、また、地価下落という明らかなデメリットしかないため、たくさんの税金を費やして何の得にもならない施設を作ることには賛成できないというのが現状です。

≪主張2≫反対している高齢者は穏やかな生活を失う不安を感じている!

静かな街に憩いの場所だった公園を潰して保育園を造ることに不安を感じる高齢者の方々がいるのは確かです。「騒々しいんじゃないか?」「自転車が行き交い事故が起きるのではないか?」など、高齢者の方々は穏やかな生活が壊されないかと脅えているのです。心の狭い意地悪な悪人たちではなく、不安なのです。確かに今までは公園で近所の方とゆっくりお話ししたり穏やかに過ごせていたとしても、保育園ができて公園に子供が多く来ると、走り回ったり、道路に飛び出したり心配が増えますよね。

≪主張3≫親のマナーも懸念されている!

保育園設置にあたり、説明会を開く各地の会場では頻繁に、「子供を預ける親が、園の前でおしゃべりをしたりしないのか?」など、親のマナーに関する質問が出ています。子供を預けられなくて待機児童問題で頭を抱え、やっと子供を預けられるところが見つかったらママ友問題で悩む人も多い中、園の周辺で子供たちのことや、園の行事に関するイベントの情報交換も必要です。園の前や道端で話さないためには保育園内に保護者達が集まるカフェスペースを作るなどの案もありますが、それはすべての園でできることではないでしょう。問題が解決してもまた違う問題が発生し、終わりはありません。

■「子供の声は騒音じゃない!」変わりゆく世界の条例!

東京都は騒音防止を定めた「環境確保条例」について、現在は規制対象となっている子どもの声を除外する方向で検討しています。実はドイツでは2011年5月に、「子供の声」をめぐって連邦法が改正されました。子ども施設(乳幼児・児童保育施設及び児童遊戯施設)から発生する音を、環境騒音から除外するというものです。州環境政策担当のカトリン・ロンプシャー州上院議員は「音を立てずして子どもたちが健康に育つはずがない。遊び場だろうと、家だろうと幼稚園だろうと、子どもの騒音は子どもの心身の育成に属するものだ」と言う。世界でも広がるこの動きに日本の各自治体も柔軟に変化していけるよう住民の理解を得てほしいものです。

■保育園設置反対運動の解決策は?

≪その1≫互いに歩み寄る意識を持ち、妥協点を見出す!

近年、住民反対運動は保育園建設時には必ずと言っていいほど起こる問題です。保育園側は必要な防音対策や住民の意向をくみ取る必要があり、住民も自らの生活の快適さを最優先させすぎないことが重要です。子どもがのびのび育つ地域こそが住みやすい地域のはずで、「お互いにできる限り歩み寄る」という意識が必要です。地域によって状況は異なりますが、保育園側はめげずに説明会を繰り返し行い、住民側の主張をできる限り柔軟に受け入れる姿勢をもち、話し合いながら妥協点を見出す必要がありそうです。

≪その2≫保育園設置に成功している園の工夫がすごい!

保育園設置に成功している園のいくつかでは、子供の声が騒がしくなるのを防ぐため、少人数の子供が集まって遊べる場所を保育園内に分散させて設置しています。そうすることで、大勢の子どもが1か所に固まって遊ばないので、声が大きくなるのを防いでいます。
また、近隣の方々と地域のイベントなどを通して信頼関係をつくり、子どもたちと交流を重ね、コミュニティの力で対立から融和へと転換する努力を重ねています。そして最終的に、地域住民が最大の協力者になっているというケースもあるようです。
これらの事例を見習って各地に保育園が増え、地域の住民みんなで日本の未来を担う子供たちを育てていける社会作りができるといいですね。

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